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32.*****

 失神すらさせてもらえないまま、僕は奏斗さんの射精を腹で受ける。プラグで栓をされ、身動きがとれないよう手足を縛られてベッドの隅に転がされた。無様に、起き上がる事もできない。 「あ、プラグ(それ)ねぇ····イイ感じの薬、たーっぷり塗り込んでるから。芯クン潰してる間、独りで悶えてな」  奏斗さんは、芯をベッドに移動させると、口に掛けていた縄だけ解いた。そして、電マを亀頭に押し当てようとする。抵抗しようものならペニスを握り潰すと脅し、芯を大人しくさせてしまった。 「チッ····縛んのマジすぎてキモいんだけど」 「あぁ····俺、趣味で緊縛師やってるからねぇ。上手いでしょ」  にこやかに言って、芯のロープに指を掛けて言う。大学生の頃から怪しい店でアルバイトをしていたようだが、ここまで本格的とは。昔から縛るのは上手く、おかげで縄酔いするまでに仕上げられた。  芯まで、その毒牙に掛けられないようにしなくては。しかし、全身に力が入らず口も動かせない。おそらく、プラグに塗布したという薬の所為もあるのだろう。 「は··? きん····? なぁアンタさ、何がしてぇの? 俺と先生が別れたら満足なわけ?」 「君らがどんな関係であろうが、そんなのどうでもいいよ。俺には関係ないからね。けどそうだなぁ····芯クンも可愛いし、いっそ2人とも僕が飼っちゃおうかな」 「あ? ふざけんな。俺も先生も、お前なんかに堕ちるかよ。自惚れんのも大概にしとけよな、自意識過剰ジジィ!」 「あっはは、芯クンは口が悪いなぁ。まずはそこから直していこうか」  強気な芯の心をへし折るべく、奏斗さんは電マのスイッチを入れた。芯の愛らしい嬌声が響く。この状況でそれを聞いて、欲情する僕は救いようのない変態だ。  奏斗さんの責め方は、とにかくでエゴイスティックで厭らしく執拗い。いくら気の強い芯だとて、精神的に幼さが残る年頃だ。本気で堕としにかかった奏斗さんの責めに、耐えられるはずがない。  ダメだ。また弱気になってしまう。けれど芯は、僕の弱い心を(あざけ)る様に抵抗を見せる。 「やめっ、んあ゙ぁ゙っ····くっそ変態!! ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙!!」 「あ~ほら、また間違えた。お仕置ね」 「やっ、待っ──んっ、ぐぅぅぅっ!! な゙あ゙ぁ゙ぁ゙!!! もうむり゙ッ、()にゅ····」   僕が引き出せなかった芯の顔を、奏斗さんがいとも簡単に引き摺り出す度、酷い嫉妬に駆られる。時間を掛けて暴いていこうと思っていた、芯のそういう顔。  それと同時に、心待ちにしていた芯の限界を超える顔を見られた喜びが湧き上がる。興奮を感じずにはいられない。恋人だ云々と()かしておいて、こんなに最低な事はないじゃないか。  頭では自分を叱するが、相反して身体は昂ってゆくばかり。それに気づいた奏斗さんが、えげつない提案をしてきた。  僕が芯に挿れ、奏斗さんは僕に挿れると言い出したのだ。そんな連結など、あまりにも予想外で腰が抜けてしまった。  僕と芯は絶句し、奏斗さんの顔をポカンと見上げる。 「だってお前、ガッチガチに勃ってんでしょ? 流石に、んなアホな事すんの俺も初めてだし面白そうだよね。使えるんだったら使おうよ。そしたらみーんな気持ちぃだろ」  反発しようとした芯の口に、奏斗さんはハンカチを詰め込み黙らせた。 「芯クンは少し黙ってようね。····ほら、できるでしょ? れー──」  名前を呼ぼうとする。僕は、慌ててそれを遮る。 「やっ、やります! ····っ、ごめんね、芯」  奏斗さんは、目で『さっさとやれ』と圧をかける。この冷徹な目に逆らう事などできない。  縄を解かれ、思うように力の入らない腰を持ち上げる。そして、自らの意思で芯の股ぐらへと移動した。芯の目には、溢れんばかりの涙が溜まっている。  怯えているのだろうか、それとも、奏斗さんの思い通りに運んでいるのが悔しいのだろうか。芯の悽愴(せいそう)な泣き顔に、僕の心は悲痛な叫びをあげている。  それでも僕は、芯のナカへとペニスを収めた。ようやく芯に触れられた安堵と、汚辱に塗れた僕を視界に入れてほしくないという羞恥がせめぎ合う。  芯のナカを堪能する余裕は無い。結腸へ辿り着く前に、後ろから奏斗さんが挿入(はい)ってきたのだから。僕の意志とは関係なく、突かれる反動で芯のナカを抉ってしまう。  戸惑いながら嬌声を漏らす芯は可愛い。僕の中の加虐心が目を覚ましそうになる。犯されたい僕と犯したい僕が混流していて、感情に虫酸が走る。  そんな中、前も後ろも気をやってしまいそうな快感に飲まれ、どうにも腰が僕の意に従わない。  奏斗さんが僕の結腸を貫く。腰を思い切り打ち付けるから、僕は芯の結腸を抜いてしまった。僕と芯の嬌声が重なる。  芯の頬に触れ包み込む。少しでも、芯の柔らかさをこの手に感じたい。これが最後になるかもしれないのだから、せめて愛した温もりを忘れないように。  そんな僕の行動が気に食わなかったのか、奏斗さんは前立腺を責め始める。執拗に、そこばかりを狙う。  堪らず僕は、芯のナカに潮を噴き出してしまった。 「んにあぁっ!!? 先生(しぇんしぇ)····腹ぁ、もぉ、飲めねぇって····やらぁ··(あちゅ)いぃ····」  芯はそのまま気絶した。僕もギリギリだ。  けれど、僕まで意識を失えば、今度こそ奏斗さんに何をされるか分かったものじゃない。何としても、意識は手放さないようにしなければ。  僕は、歯を食いしばって奏斗さんがイクまで耐え抜いた。けれど、ずるんとペニスを引き抜かれた瞬間、僕は完全に腰を抜かしてベッドに倒れ込んだ。

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