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落ち着いた先生に、よたよたとホットミルクを入れてやった。ダメージは先生のほうがデカいだろうから、流石に労わってやらねぇと。なんて思ったんだ。
ちょい熱めのミルクを赤ちゃんみたいにちまちま啜って、涙ぐんだ目で俺を見る。そんで、震えた声で聞く。
「僕のこと、嫌いにならないの?」
「は? なんねぇよ」
「····なんで?」
「なんでって····、蕩けてる先生が可愛かったから?」
「······へ?」
そりゃ意味わかんねぇよな。俺だって意味わかんねぇもん。でも、奏斗サンに犯されてる先生見てたら、可愛いと思ったんだからしょうがねぇじゃん。
俺をイジメて犯してる先生とは真逆の、甘く蕩けた先生。多分アレだ、ギャップ萌え。
そう説明したら、納得しきれない顔で頷いてた。
「ねぇ芯、お尻は大丈夫?」
「痛 ぇよ」
「見せて」
先生の必死そうな顔見たら断れなくて、しょうがないから見せてやった。痛みはあるけど、どうなってんのか分かんねぇから不安ではある。
「少し切れてる。薬、塗っとこうね」
そりゃあんなの2本も突っ込まれたら切れるっつぅの。それは覚悟してたけど、それよりも変な欲望が芽生えてる。
「うん。··あ、のさ、先生が嫌じゃなかったら··で、いいんだけど、薬塗る前にさ、えっと··舐めてくれる? ちょっとだけ、その··消毒··的な····」
先生は目を丸くして、少し涙を滲ませて舐め始めた。嫌がんねぇんだ。俺自身、なんでンなこと言ったのかわかんねぇ。けど多分、先生に我儘を言ってみたくなったんだと思う。
つぅか、ちょっとでいいつったのに、マジで執拗い。バカみたいに犯されたんだから、先生こそ身体労れよな。
一心不乱に舐めてる先生見てると、気持ちがガッと上がって、思わず口が滑った。これはマジで言うつもりなかったんだけどな。
「俺さ、先生のこと好き····みたい」
さっきより目丸くして、目玉落ちんじゃねぇのってくらいパチクリする先生。また涙浮かべて、子供みたいに泣いてやんの。
まだ頭緩い感じからして、薬が残ってんだろうとは思う。けど、こういう素直な先生も悪くないと思っちゃったんだよな····。
ボヤッとした先生と風呂に入って、ケツに薬塗ってもらって、初めて手を繋いで向かい合ってベッドに入る。何だこれ、すげぇ恥ずかしいんだけど、妙に落ち着くのが不思議。
慣れたのか、好きだと認めたからなのか、こういう甘ったるさを気持ち悪いと思わなくなった。けど、先生はまだ信じらんねぇみたい。
「実はね、色々見られて嫌われたと思ってたんだ。それなのに····芯、本当に僕のこと好きなの?」
「んー? たぶん」
「たぶん····」
俺から“好き”だとか、女の子にも言ったことないわ。聞かれたこともないけど。マジで萎える。なんで初めてが野郎なんだよ。
俺は心ン中で悪態をつきながらも、また本音を漏らしてしまう。だって、先生があんまりヘコんだ顔すっから。
俺のクソみたいな自尊心で、先生にそんな顔をさせたいわけじゃない。とにかく今は、言ってやんなくちゃって思ったんだ。
「····はぁ。好きだよ」
先生の胸に埋もれて顔を隠す。先生はまだなんか喋ってたけど、俺だって犯されまくってヘトヘトなんだって。
だから、もう寝かせろよ····。
俺は空返事をしながら、あんな事の後なのに、先生の腕ん中ですげぇ落ち着いて眠った。先生の匂い、ちょっと好きかも──。
翌朝、トーストのいい匂いで目が覚める。そうか、今日休みなんだ。良かった。
2人で静かに朝メシを食って、ちょっとだけ奏斗サンの話をする。
あの人は、本気で俺ら2人を飼うつもりなんだろう。本命 は先生で、俺はついでなんだろうけど。
あの口振りから察するに、マジでまた来るっぽい。それも、そんな遠くないうちに。
とりあえず困ってんのは、対策の立てようがない事。鍵なんか替えたところで、どうせすぐに合鍵作られるだろうし。多分マジで無意味。
つぅか、奏斗サンが『開けろ』って言ったら、先生は開けちゃうんだろうな。俺だって、凄まれたら開けねぇ自信はない。
どんな対策したって攻略されそうだし、何を危惧したところで全部現実になるんだろう。考えるだけ無駄だってのが、今確実に分かる事。
はぁ····、今度来た時もまた犯されるんだろうな。半ば諦めモードだわ。
先生は隙さえありゃ謝ってばっかだし、マジで埒が明かねぇ。しばらく、向こうの出方を見るしかなさそうだな。
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