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勢いで、思わずプロポーズまがいの事を言ってしまった。それに対して芯は、合意とも取れる返事をくれた。
芯がデザートを食べ終えるのを待つ。が、舞い上がった僕はウズウズするのが止まらない。店を出ると、今度は僕から芯の手を握った。驚く芯に笑いかけると、照れて俯いてしまった。
愛らしい芯を車に乗せ、近くのホテルへ連れ込んだ。明日は月曜日。朝方には、一度家に帰らなければいけない。6時間もあれば、ある程度満足できるだろうか。
それまで、芯が泣いて嫌がっても、離してあげられないかもしれない。芯には悪いが、頑張ってもらおう。
「······で、ここ何?」
「何って、ホテルだよ。····ホテル、初めてじゃないくせに」
大人気なく嫉妬心を剥き出しにしてしまった。面倒臭いと思われるのだろうか。
「いやいやいやいや。あのさ、俺普通のホテルしか行ったことねぇの。こう言う特 殊 なトコは初めてだから」
特殊····とは、何がだろうか。ここは昔、一度だけ奏斗さんに連れてこられた事があって、丁度近かったから来たのだけれど。
奏斗さんに呼び出されるホテルは、どこもこういう仕様だったから、これが普通なのだと思っていた。しかし、どうやら一般的にはそうでないらしい。
奏斗さん以外と経験のない僕には、それは知り得ない事だった。
「普通って、どんなの?」
「雰囲気のある部屋にそれっぽいベッドがあって、あと軽い玩具 とかはある。けど少なくても····こういう特殊なセットはねぇよ」
部屋を見回して言う芯。誰と行ったどんな部屋を思い出しているのかは知らないが、不愉快極まりない。
きっと僕は今、嫉妬で歪んだ表情 をしているだろう。芯がどんな感情で言っているのか確認できない。
それはともかく。部屋に入るなり血の気の引いた芯の顔は可愛かったが、どうしてそんな顔をしたのか不思議だったのだ。
けれど、芯の話を聞いて合点がいった。どうやらここは、SMプレイ専用のホテルらしい。
洗浄と入浴を済ませ、芯の四肢を鎖に繋いで拘束する。
「なぁ、いきなりこれ? いきなりすぎじゃねぇ? 1回くらい普通のセックスしようよ」
「んー····普通··か。分かんないや」
可愛いお誘いをしてくれる芯には悪いが、話しながら早速貞操帯を着ける。今日はフラットなタイプの物だ。芯は初めて見るらしく、キョトンとしている。
乳首はピンチで挟んでおく。ピンチの先には重りと鈴が付いている。両方の乳首がチェーンで繋がっているタイプと迷ったが、芯にはこちらが似合うと思ったのだ。
案の定、痛みに歪む表情とチリンチリンと鳴る鈴が、愛らしさの相乗効果となっている。コレにして正解だった。
このホテルにした理由はもうひとつある。この拘束している磔 台が、上下回転するのだ。口を犯しやすい。それだけなのだが、芯は悦んでくれるだろうか。
下準備を終え、いよいよ回転させる。浮かれていた僕は説明するのを忘れ、芯を怯えさせてしまった。けれど、その表情に興奮して、そのまま咥えさせた。
ゆっくりと喉奥を拡げていく。そうだ、吐かないように加減をしてあげなくては。大切な事を思い出した僕は、慌ててまた半回転させる。ついでに説明をしてあげよう。
涙目の芯。咳き込むのが落ち着くと、物凄い剣幕でキレかかってきた。
「バッッッカじゃねぇの!? 善処するつったんどの口だよ! つぅか頭に血ぃ昇るから! 死ぬから! マジでバカじゃねぇ? ひっくり返す前にさ、説明しろって言ったの聞こえてなかっただろ。俺何回も言ったんだけど。鼻歌歌ってルンルン色々仕掛けてんじゃねぇよ。乳首のコレ何? クッソ痛いんだけど。見た? 回転した時ジャラッてなったの。乳首千切れるって、マジで。マジで! あとコレが1番説明欲しい。ちんこのコレ何? マジで何? どうなってんの? 俺の大事なちんこ無くなってんだわ」
「······ごめんね」
「違う。謝ってほしいんじゃねぇの。謝ってもどうせ続けんだろ。だったらせめて説明しろって。俺、こういうの使った事ないから知らねぇの。知らねぇのって、マジで怖いから」
奏斗さんにされた時の事を思い出しているのだろうか。目を逸らし、酷く怯えた表情を見せる。
あの人は道具を使ったプレイが好きだから、毎回知らないアイテムを使われたっけ。確かに、あれは怖い。
著しく興奮していたとは言え、同じ事をしていた自分に腹が立つ。芯には丁重に謝罪し、きちんと説明した。
渋々納得した芯に『吐くからひっくり返すな』と言われたので、善処すると言った手前それだけは断念した。仕方がないので、拘束を解きベッドに下ろす。
その途端、貞操帯を外そうとした芯。即座に押さえ込み、両手は後ろで縛った。まったく、油断も隙もない。
縛ると艶かしい声を漏らす芯。薄々気づいてはいたが、どうやら芯にも縄酔いのケがあるらしい。よくこれで、奏斗サンを相手に強がっていたものだ。
「芯、奏斗さんに縛られた時、よく平気だったね」
「んぁ? ····何が?」
トロンと落ちた瞼に緩んだ口元。全身の力が抜けている。これを、今から僕のイイように弄べるのかと思うとゾクゾクする。
あぁ····、芯の怯えた瞳が僕の恍惚な笑みを映している。
「はぁ····。芯の瞳に映るのは、僕だけであってほしいな」
甘い本音を漏らしつつ、芯のナカへと侵入する。熱くて蕩けるような、それでいて僕を離さない肉壁。
これを、奏斗さんも味わっていたのかと思うと虫唾が走る。
けれど、僕では奏斗さんに刃向かえない。悔しい。芯のナカを知っているのは、僕だけでありたかった。
醜い感情を芯にぶつける。最低だとは思う。しかし、アナルをギュッと締め付け、ペニスを離さない芯を前にすると、無性に苛立ってしまう。
もう、僕だけではない。奏斗さんが現れたら、またこうして芯が喰われてしまう。不甲斐なさが僕の心を狂わせてゆく。
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