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43.*****

 感情のままに芯を抱き潰した。薄い毛布に包まり、まるで僕を拒絶するかのようだ。  柔らかい前髪を指でさらう。小さな声を漏らし、鬱陶しそうに顔を背ける芯。白くキメ細やかな美しい肌を、僕はまた噛み跡とキスマークで真っ赤に染め上げた。    僕のモノだという証が欲しい。芯の心を、欠片でも手に入れた証が。  けれど、目に見えてしまう物は危険だ。奏斗さんを相手に厄介すぎる。どうしたものかな。 「芯、大丈夫?」 「なわけねぇじゃん。身体中(いて)ぇ」  鼻をすすり涙は隠して、差し出した僕の手を拒むように頭まで潜る。可愛いだなんて言うと、余計に拗ねさせてしまうだろうか。 「お風呂入れそう? あと1時間くらいしたら、一度家に帰るよ」 「ん。けど風呂は無理。立てねぇ」  甘えたな芯を抱えて風呂に入れる。もう少し肉がつけば、抱えられなくなりそうだ。けれど、それでいい。  筋肉質ではあるけれど、余分な肉が無さすぎる。肉付きのいいほうが、食い込む縄や鞭を打った時の手応えは良さそうだもの。  芯を少し寝かせ、時間が来たら起こして車へ連れ立つ。夢現の芯は、車を走らせるなり再び眠ってしまった。  今夜はいささか、激しく求めすぎただろうか。泣いて叫んで、苦痛も酷かったかもしれない。  結局、甘いだけのセックスはできないのだと悟った。これが僕の本質なのだろう。途中、自分を押し殺して優しくしてみたが、戸惑っていたのは芯のほうだった。  あの困惑した顔を見て、僕たちには向かないのだと直感した。時々、気まぐれにそういう事ができればいいな。そう思う程度にしておこう。  マンションの前に車を停め、涎を垂らしている芯を見る。気持ち良さそうに眠っているところを、忍びないが起こさなければならない。 「芯、着いたよ。起きて」  肩を揺すると、目を薄く開けて僕を見る芯。襟を掴んで、唇が触れそうな距離まで引き寄せられた。ゆっくりと、僕からのキスを待つように止まる。 「シて」  甘い吐息に理性が飛ぶ。貪るような口付けで芯を犯す。この無邪気で妖艶な子供を、もう一度食べてしまいたい。できる事なら、骨の髄まで。  芯の髪を掴み、滾ったソレを目掛けて頭を引き寄せる。嗚咽を漏らす芯。少し乾いた口内が、あっという間に粘液で満たされてゆく。  漸く目が覚めたのか、必死に手で僕を押し返そうとする。けれど、寝起きの芯など、小さな子の様に非力だ。  よく開いた喉に捩じ込み、長い射精を果たす。 「零さないで全部飲んでね。ふふっ····、レンタカーだから」  芯は僕を睨みながら、溢れた精液を丁寧に吸い上げる。エロティックとはまさにこの瞬間だ。  芯をベッドに寝かせ、僕は出勤の支度を始める。余程疲れていたのか、ベッドへ転がるなり猫の様に丸まり眠ってしまった。  徹夜なんていつ以来だろう。こんなハレンチな子供にかまけてだなんて、この一時だけでも不都合を忘れて幸せに浸ってしまう。  7時過ぎ、朝食に手紙を添えて家を出る。そぅっと、芯を起こさないように。()()としては有るまじき行為だが、今更。  昨夜は随分無理をさせたようなので、今日は休ませてあげよう。一応施錠はした。起きたらチェーンを掛けるよう手紙に書いておいた。  連絡してくれれば安心なのだが、あまり期待はできない。  夕方、家に帰ると芯が夕飯を用意していた。冷蔵庫にあった物で、小さな鍋を作っていたらしい。  キッチンに立つ芯を見て、心底安堵した。振り返って『おかえり』と発したその口を、勢い任せのキスで塞ぐ。  ろくな物がなかったはずなのに、食べてみるととても美味しい。帰りに買った食材を少し足し、僕たちは腹を満たした。  食べ終えるや否や、頬を染め『一応··準備してっけど、先生も先風呂入る?』と聞かれ、ネクタイを緩めると同時に、力一杯芯の腕を引いて立たせる。お気に入りのダイニングチェアが倒れようと、構う余裕などない。  芯を投げるようにベッドへ突き飛ばす。突然の出来事に驚く芯。反応させないままネクタイで目隠しをし、股ぐらに顔を埋める。  芯の陰茎を口いっぱいにしゃぶりながら、柔らかくなっているアナルをさらに解ぐす。戸惑いながらも愛らしい声を漏らす芯。僕の頭を押して抵抗するが、力など殆ど入っていない。  よく解れたところで、前立腺をグッと潰し射精させる。それを口移しで芯に飲ませた。  これをすると、至極当然とても嫌がる。けれど、酷く興奮もするようで、飲み込んだ直後の顔は蕩けきっている。今日は、そんな愛くるしい目を見られないのが残念だ。  指を4本挿れ、僕のが入るスペースを拡げ挿入した。一気に奥の扉まで突き挿れると、獣の様な嬌声を漏らし痙攣する芯。どうやら、一突きで深く達してしまったらしい。まだ、貫いてもいないのに。    初めは精液と潮が混じり溢れるが、すぐに潮だけが止めどなく噴き出るようになる。小さく可愛い声を漏らし、深い絶頂を繰り返す度、どんどん声に艶が乗る。  唇を吸いにいくと、見えない所為か身体が跳ねる。胸を掻き毟りたくなるような甘ったるい感情が湧き上がり、さらに深く突いてしまう。 「ん゙あ゙ぁ゙ぁっ!! 先生(しぇんしぇ)、深い! もう入んねぇ、腹()にゅッ、ン゙ン゙ン゙ッ····んあぁ゙ぁ゙っ!!」 「芯、もっと声聴きたい。我慢しないで」 「ひぁっ、耳元で喋んなぁ!」  どこもかしこも敏感な芯。可愛い芯。  腰を持ち上げ、足とお尻をめいっぱい開く。そして、頭を押さえ込むように頭上で手を組み、最奥に押し込んで芯のナカを僕で染めた。  ゆっくりと芯のナカから抜け、溢れないうちにプラグで栓をする。また後で、お腹が膨れるくらい出してあげよう。  僕が『愛してるよ』と言って芯を抱き締めると、『····好き』と言って力なく抱き返してくれた。     この温かい時間が続けばいいのに。そんな、フラグのような事を願ったからだろう。  数日後、インターホンが鳴りモニターを確認すると、無表情でツンとした奏斗さんが立っていた。不機嫌そうな雰囲気に、背筋を冷たい汗が伝った。

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