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 そうだ、先生と奏斗サンが甘いキスなんかするわけないんだった。先生言ってたもんな。  案の定、わざとらしく見せつけられたのは、先生が嗚咽を漏らすくらい激しく強引で、本当に捕食してるようなキスだった。なのに、先生はすげぇ気持ち良さそうに蕩けてる。  まぁ、確かにこないだされた時、すげぇ上手いなとは思ったけどさ。  奏斗サンは俺をちらっと見て、したり顔で笑いやがった。んで、先生を俺の方に投げると、先生から俺にキスをさせた。あんな激しいキスは好きじゃねぇけど、負けたみたいで悔しいから俺もやってやる。  先生はもう何してもトロットロで、奏斗サンがケツ弄り始めたらキスしながら喘ぎ始めた。先生の甘い吐息が熱い。  奏斗サンが先生のナカに収まる。エロい声出して喘ぐ先生。俺もケツが疼く。それを察した奏斗サンが、ケツを向けろと指示してきた。  キスをやめ、床を這って移動する。んで、おずおずと奏斗サンにケツを差し出した。 「あっは··。モゾモゾして虫みたい」 「チッ··テメェが縛るからだろ」  ボソッと悪態を吐くと、思い切りケツを叩かれた。 「ひぐぅっ!!? い゙っっっでぇぇ····」  不意をつく甲高い音と俺の声に、驚いた先生の身体が跳ねる。ンな心配そうに見んなよ。 「言葉遣い」  振り向いて見上げると、すげぇ冷たい目で俺を見下ろしていた。俺のこと、マジで虫とか思ってそう。めーっちゃ(こえ)ぇ。 「ご、ごめ、なひゃい····」 「ん、気をつけようね。次舌打ちしたら舌噛み切るから、本当に気をつけな? ほら、ケツ弄ってあげるからおいで」  リズム良く先生に腰を打ち付けながら、器用に俺のケツをイかせ続ける奏斗サン。俺も先生も、びっしゃびしゃに潮噴きまくってんだけど。  この人マジで、タオル敷くとかって概念ねぇのかな。  先生んナカに好き放題ぶっ放して満足したのか、悠々と一服してる奏斗サン(クソ賢者)。先生は、奏斗サンの隣で丸くなって気絶してる。  無気力に煙を吐いて、一息吸うとゆっくり語り始めた。 「俺さ、ずっと零と付き合ってるつもりだったんだよねぇ····。でも零はそうじゃなくてさ。すれ違い? とかって次元でもなかったんだコレが。まぁ、俺も若かったし遊びまくってたから? しょーがないんだけどねぇ」  奏斗サンの過去なんかどうでもいい。なのに、勝手に話し始めたから聞くしかねぇのな。  ンっと構ってちゃんかよ。先生が気絶するとこれだもんな。マジでうぜぇ。  で、こっからは奏斗さんのどうでもいい話。  大学生の頃、マジで先生以外にも飼っている(ペット)が沢山居たんだって。けど、どれもただの捌け口(オモチャ)だったらしい。誰で遊んでも満足できなかったとか。それはまぁ、俺も分からなくはない。  奏斗サンは、自分でも信じらんねぇくらい先生にハマってて、めっちゃお気に入りだったとか言ってんだけど。これって惚気?  つぅか、洗脳みたいに先生の心弄んどいてよく言うよな。まぁ要するに、両想いだと思ってたから余裕ぶっこいてたワケだ。  んで、先生が自分に執心してると思ってたから、散々妬かせる様な事をしてたらしい。伏し目がちに自分は不要なんだと思い詰める先生が可愛かったからって····流石イカレ外道の奏斗サンだよな。  先生に『捨てないでください』って言わせんのがマイブームだったんだって。アホ過ぎんだろ。どんだけ歪んでんだよ。  先生は奏斗サンを好きだって勘違いさせられてただけだし、最終的に裏切られたとしか思ってねぇけどな。マジざまぁ。  挙句、最後は寂しがらせる為に連絡を絶ったとか、救いようねぇわ。なのに、先生から連絡がないから腹立って、意地でも自分から連絡しなかったとかさ、マジでバカじゃん。ガキかよ。  まぁ、概ね聞いてた通りだった。先生と奏斗サンの話擦り合わせたら、今に至ったのも納得だわ。2人ともバカだけど、これ多分、奏斗さんのが重症っぽいな。関係性的にもタチ悪くね?  先生はずっと受け身で、奏斗サンからの呼び出しに怯えてたんだよ。愛されてるって勘違いさせて、その上裏切られたと思わせて。先生がどんだけ傷ついてたか気づいてねぇのかよ。  んな事も分かんねぇで、なーにが愛してるだよ。先生のコト、俺より分かってねぇじゃん。  ま、奏斗サンの知らない先生のことは、絶対(ぜってぇ)教えてやんねぇけど。 「で、キミはなんでそんな反抗的なの?」 「アンタが気に食わねぇから。俺はアンタを好きにはなんねぇ。ただ身体で縛られてるだけ。アンタさ、やってる事今も昔も一緒じゃん。成長しねぇのな。だっせぇ」 「あぁ··、そうなんだよね。····再会して気づいたよ。俺、コイツと別れた時の····ガキのまんまだったんだって」  視線を先生に下ろし、眠ってる先生の髪を指で攫う。腹立つくらい絵になんだよな、この2人。  俺が『やけに素直じゃん』と漏らし、拍子抜けした次の瞬間、力一杯顎を持たれて壁に叩きつけられた。  顎から首へ手を滑らせると、グッと押し込まれて息ができなくなった。そんで、ずいっと耳元に唇を寄せると、ドスの効いた声で唸るように脅された。 「でも俺さ、(コイツ)の為に変わるつもりなんだよね。それに、芯クンのこともマジで気に入ってんだよ? 2人とも欲しい····。もうさぁ、潰したくないんだよね。大事な玩具(こいびと)を。理解でき(わか)るでしょ?」  すっと離れて、ニコッと胡散臭い笑顔を見せる。    恋人? 俺らが? ふざけんなよ。  けど、奏斗サン(コイツ)の目を見たら分かる。冗談やテキトーな事言ってんじゃないって。本気なんだ。変わろうとしてんのも、()()恋人にする(飼う)ってのも。  イラつく笑みを浮かべたまま、『お尻向けて』と()()()され、俺は逆らえずにケツを差し出す。柔らかい表情と声の重さのギャップがすげぇの。  このまま待ってろって言われて、それにも思わず『はい』って従順な返事をして従う。    結局従ってんだよな。何が服従しねぇだよ。1番カッコ悪いの俺じゃん。先生守れてねぇし、自分の覚悟も通せてねぇ。  けどだってさ、腹の底から身震いするような恐怖が込み上げんだもん。逆らえねぇよ。マジで、そろそろ心折れそう──  ──いや、俺が折れたら完全に負けじゃん。先生にもっと(ひで)ぇ事シそうだし。やっぱ負けらんねぇよなぁ。

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