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49.*****

「芯····」  芯の名前を零し、ハッと我に返る。 「へぇ····。俺に突っ込まれてんのに芯クン呼んじゃうんだぁ。妬けるなぁ」  僕のお尻に爪を食い込ませ、力一杯鷲掴んで開く。直後、最奥まで一突きに貫かれ、一瞬意識をやった。 「おっ··、あっぶな」  後ろに倒れそうになった僕を、奏斗さんが受け止めてくれた。なんだか今日は、奏斗さんの態度がおかしい。  優しすぎて怖い。さっきの話だって、到底信じられないものばかりだった。  けれど、もしも真実なのだとしたら、僕がこれまで抱えてきた苦しみは何だったのだろう。ふと虚無感に駆られる。  あぁ、そうか。これは、僕たちを手っ取り早く堕とす為の作戦なのだろう。芯がなかなか堕ちないものだから、焦っているのかもしれない。  僕を先に陥落させようという魂胆だったのだろうが、身体で堕ちきらないから心を砕きにきたワケだ。それを甘いと思える余裕。芯のおかげだろう。もう絆されたりしない。  所謂、押してダメなら····というやつなのだろうか。今更、僕にそんなものが通用すると思われているのなら、甚だ腹立たしい。  それなのに、身体が逆らう事を許さない。脳が、脊髄が、奏斗さんの言葉や一挙手一投足に反応してしまう。無論、僕の心とは裏腹に。  いや、既に心さえ腐っているのかもしれない。口先だけで、芯への愛を盾に、どうにかこうにか凌いでいるだけ。  まさか、あの頃とは違う奏斗さんに、醜悪な期待を抱いているのだろうか。そんなものは認めない。  それに、どうしても拭えないのは芯への支配欲だ。奏斗さんが僕と芯を求めるのと同じように、僕は芯を求めている。それは未だ歪んでいて、それでいて純粋に愛を知りたいと足掻く。  奏斗さんと2人で、芯を可愛がっている時、心の底から愉しいと思っていた。そんな穢れた僕は、芯に相応しくないのかもしれない。  芯を大切にしたいのに、悪い大人になってしまった僕は、薄汚い欲を駆り立てられている。  そこへ注がれる甘い誘惑。 「ねぇ、もう酷い事しないって言ったらさ、俺に飼われてくれる? 芯クンと一緒に、さ」 「そ··んな、約束····信じられません」  僕は、揺らぐ心を悟られないよう顔を背ける。目敏い奏斗さんは、僕の顎を持って向き直させる。  真っ直ぐ僕を見つめ、僕の中で揺れているそれに触れる。 「2人で芯クンを愛でてあげればいいじゃん。俺は、2人とも可愛がってあげる。損はないだろ? お前のここも、もっと可愛がってあげる」  そう言って、ピストンを再開した。  グルグル巡っていた思考が段々と無音になって、たちまちナカを抉る刺激が支配する。 「ナカ熱いの、お湯の所為? それとも、俺の所為?」 「分かっ··、分かんなっ、いあ゙ぁっ! 奏斗さ··奥、深····」 「あぁ····ここ、昔から好きだよな。どうされんのがイイんだった?」 「ん゙っ··そこ、行き止まり、押し··上げて··、曲がってぅとごぉッ····抉っでくだしゃ──イぎゅぅっ!! がっ····は、ぁ····」  僕を羽交い締めにすると、肩を掴んでグッと下へ押さえ込み、荒っぽく僕の願いを聞き入れた。狭い風呂で思うように身動きもとれず、奥への侵入を拒む術がない。  奏斗さんが達するまで、執拗で力任せな奥責めで失神を繰り返した。こんなに余裕のない奏斗さんを見るのは初めてだ。  腹の最奥を熱くされ、僕の身体は再び従順に躾を受ける。僕からのキスを求められ、一心不乱に舌を絡め合う。  と、外で物音がした。  ハッと我に返り、芯が頭を()ぎる。  目が覚めたのだろうか。酩酊状態で歩き回っていないだろうか。転んで怪我でもしたら····。血の気が引いてゆく。  そんな僕を見かねた奏斗さんは、何も言わずに僕を抱えて風呂を出た。足元のフラつく僕を支え、身体を拭いて再び抱える。  そして、ベッドまで運ばれ、芯の隣に寝かされた。  僕たちをボーッと見つめる芯。どうやら動けないらしい。さっきの物音は、水のペットボトルを壁に投げつけた音だったようだ。  芯は、何か言いたげな目で僕を見つめる。責められるのだろうか。  僕はどうすれば、芯を繋ぎ止めておけるだろう。頬を赤く染めた愛らしい芯。そっと手を伸ばすと、パシッと手を弾かれた。

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