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50.*****

 ついに拒まれてしまった。弾かれた手が力無くベッドに落ちる。 「先生(しぇんしぇ)····奏斗しゃんの事、また(しゅ)きになってる」 「な、なって··ない····」  奏斗さんをチラッと確認するが、僕たちの会話に興味を示さず、悠長に煙草を吸っている。冷蔵庫から勝手に持ってきたチューハイを片手に、僕たちを横目で見ているだけだ。 「嘘ら。····なぁ、先生(しぇんしぇー)は俺と奏斗しゃん、どっちが(しゅ)き?」  なんと可愛い質問だろう。身体が動かないのか、仰向けに横たわったまま顔だけ僕に向けている。可愛さを助長するような体勢に、また下半身が反応してしまう。  まるで赤ん坊の様な芯。今すぐにでも抱き潰して泣かせたい。が、まずはこの肝心な質問に答えを返さなければ。 「芯だよ。僕は、芯を愛してる。芯に愛されたい」 「んへへ····そっか。先生(しぇんしぇ)ぇのバーーーッカ!」  突然の怒声に驚いた。何故罵られたのだろう。愛らしく微笑んだかと思えば、目に涙を溜め唇を震わせている。  そして、言葉を選ぶように、ゆっくりポツリポツリと話す。 「俺のこと、(しゅ)きなのは分かってっけろさ。えっと、なんらっけ····、そう! 自分の気持ちに素直になれよって言いてぇの。奏斗しゃんの事、迷ってんらろ。じゃーさ、もっと欲張っちゃえよ」 「····え?」 「俺ねぇ、2人がかりでイジメられんの(しゅ)きぃ♡」  ダメだ。素直なのかイカれているのか、判断がつかないほど酔っ払っている。けれど、正気でない事は疑いようがない。 「芯、欲張れってどういう事? え、イジメられたいの?」 「有り得ねぇんらけろさ、イジメられんのも悪くねぇなって思っちゃうんらよね。んぁー··そうらなぁ····、3人で(ちゅ)き合っちゃおっか。なんかさ、奏斗サンがそうしたいんらって。先生(しぇんしぇー)も迷ってんらろ? 丁度いーじゃん、あははっ」 「丁度··いい····」 「俺気持ちぃし、先生(しぇんしぇー)と奏斗サンは両方ゲットだしぃ、丸く収まんだろ。俺ねぇ、奏斗しゃんの顔とちんこだけはイイと思うんらよね」  1人で喋って納得する芯。確実に思考が繋がっていない。 「芯、落ち着いてから話そう? 今まともに考えるの無理で──」  ピロンッと、録画終了の音が鳴った。いつから撮られていたのだろう。なんという事だ、奏斗さんに言質を取られてしまった。 「いや、待っ··奏斗さん··、芯は今正気じゃ····」 「いーね、ウィンウィンな関係。芯クン、僕のことも好きになっちゃった?」  奏斗さんは、僕の声に耳を傾ける事なく話を収めようとしている。このままでは、本当に3人で付き合う事になってしまいそうだ。  それで良いわけがない。芯がシラフに戻った時、また辛い思いをさせてしまうだろう。僕としても、奏斗さんとの関係がずるずる続くのは避けたい。 「好きになってねぇよ、ブァーーーーーッカ!! お前なんか嫌いらっつーの! でも、顔は綺麗らしちんこは気持ちぃから許す」  芯は、ビシッと奏斗さんを指差した。酔っていても思考が狂っていても、紛れもなく芯なのだと安心する。 「あっはは! 何それ。んじゃ、俺もマジで頑張っちゃおっかな。お前ら2人から愛されるように」 「いや、あの····」 「いいよね、れ──」 「おい」  奏斗さんが、僕を黙らせる為に名前を呼ぼうとした。その瞬間、芯がそれを遮る。 「お前が混じんの許してやっから、先生(しぇんしぇー)にだけは酷い事すんな。約束(やくしょく)れきねぇんなら、やっぱ奏斗サンは入れてやんねぇ」 「わぉ、カッコイイねぇ。俺、マジで芯クンに惚れちゃいそう」 「キモいから惚れんな。ぶぁーーーっか! 俺は先生(しぇんしぇー)以外(しゅ)きになんねぇ··から····。ハッ··えっと··、先生(しぇんしぇー)は自分に正直になれよ」  自分に正直に。それは、どういう意味で言っているのだろう。  芯にまた、孤独を感じさせているように思えて仕方がない。やはり、僕には芯を幸せにする事など、不可能なのだろうか。 「んれ、なんらっけ····、俺は、先生(しぇんしぇ)が幸せらって思えんなら、2人れも、3(しゃん)人れも、なんれもいいから····」  僕の幸せ····?  芯は、言いたい事だけ言うと眠ってしまった。奏斗さんも、それ以降は手出しせず、芯と僕の間に入って朝を迎えた。  セミダブルのベッドで敷き詰まって眠り、迎えた寝苦しい明け方。考えが巡り纏まらないまま、僕は魂が抜けたように眠りに落ちた。  朝はすぐにやってきた。目が覚めると、酔いの覚めきっていない芯が奏斗さんに犯されていた。 「んぁっ、やっ、奥しんろい····奏斗サ··んんっ····」  僕はまだ身体が動かない。狭苦しそうに2人が楽しんでいるのを、ボーッと眺めている。と、奏斗さんと目が合った。 「おはよ。混じる?」 「う、動けないれす····」  動揺して噛んでしまった。目を細め、僕を愛おしそうに見る奏斗さん。芯もこちらを向いて挨拶をしてくれる。 「センセ··んぉ゙ッ····はよ。なぁ、俺んナカ、入んねぇの?」 「は、入る」  思わず入ると言ってしまった。が、身体は動かないわけで。親切な奏斗さんが、芯を僕の上に乗せた。  そして、緩みきったアナルに2人で捩じ込む。 「芯クンさ、力入んなくてユルユルだったんだよね。2人で丁度いい感じだろ?」 「だ、(だぇ)がユルマンらよ! 締めれるもん」 「んぁっ、芯、あんまり締めちゃダメ····イッ··んんっ」  我慢がきかず、早々に果ててしまった。けれど、その後も芯の酔いが覚めるまで、奏斗さんは芯を犯し続けた。  ウトウトと、眠りと覚醒を繰り返す僕の上で。

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