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51.###

 段々意識がハッキリしていく中で、奏斗サンのちんこを悦んで受け入れてる自分に吐き気がした。  先生は俺の下で今にも寝落ちしそう。つぅか多分、何回か落ちてる。よっぽど疲れてんだろうな。 「奏斗サ··も··やめ····先生、もうちょい寝かしてやりてぇ」 「あれ? 酔い覚めたの? 残念(ざーんねん)、酔ってるほうが素直で可愛いのにぃ」  「··るせぇ。とにかく抜けよ」 「は? 芯クンが『ケツ疼くから挿れてぇ』って強請ってきたんだろ。覚えてないの?」 「知··らねぇよ。ンな事言うわけねぇだろ!」  嘘だ。薄らだけど記憶にある。目ぇ覚めたら奏斗サンのちんこがケツに当たってて、なんかすげぇ欲しくなったんだよな。  いや、違うな。先生のと勘違いしてた気がする。 「あっそ、別にどうでもいいけど。俺がイクまで頑張ってなよ、大事なセンセー起こさないように──さッ」 「ン゙ァッ··ふ··ぅ゙ぅ゙っ····」  思いっきり奥突きやがんの。んっとに、加減っつぅもん知らねぇんだよな。鬼畜っつぅか頭悪すぎんだろ。  んでこの後、奏斗サンは何十分も出ていかなかった。このクソ遅漏が。ちんこの感度死んでんじゃねぇの?  俺は、結腸でたっぷり精液を飲まされて気絶していたらしい。  目が覚めたら、先生が朝飯を作ってた。二日酔いに効くとか言って、しじみの味噌汁を出してくれたんだけど、これがすげぇ美味(うめ)ぇの。  先生って、意外と家庭的なんだよな。絶対俺より嫁向いてんじゃん。俺、あんまそういうのやった事ねぇから満足してもらえそうにないんだけど。  ····って、そうじゃねぇんだわ。俺は別に先生の嫁になるワケじゃねぇの。だから、ンな事気にしなくていーんだよ。    最近、俺ン中で考え方とか感じ方が変わってきてて、すげぇ気持ち(わり)ぃ。  奏斗サンも、ちゃっかり朝飯を食ってる。先生の手料理は初めてだとか言って喜んでんのうぜぇ。  けど、奏斗サンのイメージが出会った当初とかな変わってきてて、最近は普通の人間に見えてきた。最初はマジで鬼畜外道のクソ悪魔だと思ってたんだもん。  それが、先生への想いとかアホみたいな後悔してんのとか、聞いてるうちに絆されてきたっつぅか、なんかちょっと可哀想に思えてきたたんだよな。  そういう風にしかできないってのは俺にも分かる。それが正解だと思ってたんだからしょうがねぇし、自分じゃ気づけねぇからどうしようもねぇんだよな。  まぁ、だからって先生にした事とかは許せねぇけど。  もしも、万が一だけど、先生が“やっぱ奏斗サンのほうが良い”って思ったら、俺は要らなくなんのかな。そしたら、出て行けとか言われんのかな。  やっと先生とイイ感じになってたのに、やっと俺らなりに前に進めてた気がすんのに、ここで終わんのはヤだなぁ····。 「芯? 食べるのしんどい?」 「··え? あ、ううん、大丈夫。ちょっと眠いだけ」 「ならいいけど、無理はしちゃダメだよ」 「わーってるって。それよかさ、この状況なに? なんで奏斗サンが居座ってんの? 悠長に飯食ってねぇでさっさと帰れよ」  なんて、俺には悪態をつくしか能がないらしい。だって、スマートに撃退するやり方なんて知らねぇもん。 「へぇ〜、そんな事言っちゃうんだぁ。夕べはあ〜んなに愛し合ったのに♡」 「きも。ざけんな、愛し合ってねぇわ。アンタが俺らを犯してただけ。強姦って犯罪なの、知らねぇのかよ」 「あれはどう考えても合意でしょ。あ〜··それも覚えてない感じか。芯クンてさぁ、酒癖悪いよねぇ」  そう言って、俺の醜態を収めた動画を見せられた。  ····有り得ねぇ。信じらんねぇ。俺、何言ってんだよ。なぁ先生、目ぇ逸らしてねぇで(フェイク)だって言ってくれよ······。    独占欲は強いほうじゃないと思う。多少はある。けど、諦め癖っつぅんかな、そういうのがあんのも自覚してる。  そんな俺が、こんなの初めてだからよく分かんねぇけど、先生は俺のもんだって思い始めてたはずなんだ。  逆も然り。先生を好き勝手されて、はいそーですかって見過ごせるほど大人じゃねぇし。  奏斗サンなんか、さっさとどっか行けってずっと思ってたハズなんだよ。二度と顔見せんなって思ってたハズなのに····。  あんな動画見せられたんじゃ何も言えねぇ。 「この機会に一度、ちゃんと話し合いませんか? それぞれの気持ちを擦り合わせて、その····僕も奏斗さんも大人ですし、このまま中途半端な関係で芯を振り回したく··ない··です」  先生は勇気を振り絞って言ってくれたんだろうけど、俺は子供だって言いたいみたいだ。  庇護欲っつぅの? 先生は初めっからそれが見え隠れしてた。それにイラつくこともある。  先生が俺をどうしたいのか、俺とどうなりたいのか。奏斗さんのことどう思ってんのかも、現状でハッキリさせといた方がいいのかもしんねぇ。  つぅか先生、ビビりながらよく言えたな。なんだろ、頭ぐしゃぐしゃに撫で回して褒めてやりてぇ····って、変かな。 「そうだね。このままじゃ昔と変わんないもんね。って言ってもまぁ、俺の希望はご存知の通りだよ。お前ら2人とも飼って愛でたい」  テーブルに肘をつき、ニマッと笑う奏斗サン。何か含みがありそうで気持ち(わり)ぃ。純粋にそう思ってんだとしてもキモイけど。  多分、“愛でる”ってとこが奏斗サンの成長ポイントなんだろう。先生から聞いた限り、昔の奏斗サンだったら“飼い殺す”とか言ってそうだもんな。  何考えてっかは分かんねぇけど、意外と性格は素直っつぅか単純なんだと思う。俺らン中でズバ抜けてひねくれてんのは先生だわ。  アレコレ無駄に考えて素直になれねぇのが主な原因かな。諦め癖とか変な潔さは、俺よか(ひで)ぇ。 「僕は····」 「待って先生。先に俺の聞いてよ」  先に言っとかねぇと、先生は絶対アホな方に答えを持ってくもんな。俺が他人の幸せ優先するとか超レアだから、真摯に受け止めてほしいもんだわ。 「ハァー····。俺は、この関係を続けてもいいと思うよ。けど、それは先生の為だから」  あー、言っちまった。頭と心じゃ頭が勝つ、俺も充分素直じゃねぇのな。 「··僕の、為?」 「先生が奏斗サンとの嫌な記憶塗り替えていければなって思う。奏斗サンはそのつもりなんだろ?」  これは本心。先生のトラウマ克服すんなら、奏斗サンが関わったほうが手っ取り早いだろ。奏斗サンが、本気でそのつもりならだけど。 「モチロン」  やっぱ信用はできねぇ。めちゃくちゃ胡散臭いもん、顔が。けど、今はそれを鵜呑みにしてやろうと思う。  その気がねぇって分かったら、そん時ゃちんこ喰い千切ってやる。 「あとは先生が、奏斗サンをちょっとでも好きならってトコだけど。それまだ分かんねぇんだろ?」 「分か、ん、なくない! 僕は芯のことが──」 「それは分かってるよ。分かってんだけどさ、揺らいでんのも間違いねぇだろ。俺、結構ちゃんと先生のこと見てるつもりなんだぜ? だから分かんだよね。言っとくけど、別にそれにショック受けるほど女々しくねぇかんな」  ビシッと先生を指差して言ってやった。ちょっとカッコつけすぎたかな。 「芯クンは大人だねぇ」  悠々と煙草に火をつけながら言う奏斗サン。引っ掻き回してる張本人が()()なんがムカつく。 「うるせぇバーカ。まぁ、ほら、奏斗サンのちんこがイイのは俺も分かったからさ。先生が良いんなら、様子見っつぅ感じで今すぐ排除しなくてもいいかなって」 「排除って君ねぇ····。素直に俺のちんこに惚れましたって言いなよ。そしたらもっと可愛がってあげるよ」 「惚れてねぇよバーカ。俺が惚れてんのは先生なの。アンタには微塵も揺らがねぇから。マジでちんこだけだわ。そこは勘違いすんなよ」 「その発言ビッチ過ぎない? ウケる〜。つぅかマジでさぁ、俺にバカバカ言えんの芯クンくらいだわ。絶対屈服させてやる」  煙草を空き缶に押し付けて、苛立ちを隠そうともしねぇ大人げのない奏斗サン。  おどおどしてる先生をそっちのけで、俺と奏斗サンは一触即発のまま。けど結局、現状の結論って先生の気持ち次第なんだよな。  今の奏斗サンなら、きっともう昔みたいなやり方でゴネたりしないだろう。先生にそれが伝わってりゃいいんだけど、微妙な表情(かお)してんなぁ····。

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