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第2話 マキ君を正しく鑑賞し、魔の手から守る会。

 マキの知らないところで、女子たちはやりたい放題だった。  "マキ君を正しく鑑賞し、魔の手から守る会" などという団体を勝手に作られ、学校中の女子が会員名簿に自分の名前を記入した。  熱烈にマキを見つめ、授業中でも、トイレに入る時でも… 有名セレブを追いかけるパパラッチのごとく、女子の鑑賞会は日々激しくなっていった。  どうやらマキの観察日記まで、付けられていたらしい。 「なぁ杉山!」 「え? 何?」  男子に話しかけられて、マキは少し嬉しかったのに… 「お前って数学、得意だよな? わかんねぇところが、あるんだけど… 教えてくんない?」  隣の席のベータ男子が、何気なくマキに話しかけたりすると… 「ちょっとあんた!! マキ君に話しかけるなんて、100万年早いわよ! 誰に許可を取ってるの?! その下心見え見えの、ヤラシイ邪悪な目でマキ君を見ないで!! 妊娠したらどうする気よ!!」  宝物を守るドラゴンのように怒り狂う… "マキ君を正しく鑑賞し、魔の手から守る会" の女子たち。 「下心…? 妊娠て… マキはオメガでも男だろ? 何でオレが邪悪なんだよ!!」  純朴なベータ男子が、思わず反論などすると、火に油を注ぎ… 「今のセクハラだよ!! あんた、今オメガ男子様を侮辱したの分かってる?! ウチの学校の女子全員を敵に回したからね!! 覚悟しなよ!!」  学校中の男子に、それ以来マキは無視されるようになった。  もしかすると、男子トイレで陰口ぐらい言われていたかも知れない。  マキがトイレへ入ると、先客男子たちの楽し気な話し声はピタリ止み、そそくさと出て行くのだ。  マキ自身には、迷惑極まりないベータ女子たちの、お節介のせいで… 高校生活の3年間、恋人どころか 1人も友人が出来なかった。  そんな経験を元にマキは… "僕のことを誰も知らない大学へ行きたい!!"    友人も無く、孤独の中でつねに誰かからジロジロと注目さられていたマキは、"絶対にこの迷惑な視線から脱出してやる!!" と闘志を燃やし続けることで、自分の立てた目標達成に成功した。  1週間近い発情期で、強制的に学校側から数か月に1度、休みを取らされるというハンデはあったが…  勉強に打ち込むことで、孤独な現実を逃避し、挫折すること無く希望通りに、マキは母校の学業成績レベルよりも、2段は格上の大学へと進学することが出来た。  大学では、高校時代と同じ失敗はしないと固く誓い、マキは女子とはなるべく距離をおくようにした。 <これでやっと自由に友人が作れる… もしかすると恋人も出来るかも?!>  この頃になると、マキは女子が大嫌いになっていたため、恋愛対象は絶対に男子と決めていた。  だが、大学でも現実はそう甘くなく… むしろ厳しかった。

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