33 / 42

第33話 毎朝2

「もう少し眠ると良い… 夜明け近くまでしていたから、疲れただろう? 目の下にクマが出来てる…」  マキの目の下を、相模(さがみ)が親指でするするとなで… うっすらとマキは頬を染めて、コクリッ… と素直にうなずいた。 <深夜のエイジさんはあんなにエロかったのに… 昼間のエイジさんは何て(さわ)やかなんだろう? …て言うか、何でこの人は朝からこんなに元気なの?!>  昨夜、マキが眠れなかったのも、ベッドで(つがい)を前にして、相模が強い性欲を抑えられなかったからだ。  オメガの身体も番に求められては… 万年発情期になるらしい。(マキの個人的、主観) <これも… 番の効果なのかなぁ? それとも元からエイジさんは アレが強いのかなぁ?> 「昼に帰って来るから、一緒に昼食をとろう… マキ、それで良い?」  ジッ… と相模に見つめられ、マキはコクリッ… と、もう一度うなずいた。  ニカッ…! と相模は笑い… 「じゃぁ、行ってきます!」 「行ってらっしゃい」  もう1度マキの唇に、激しめのキスをして、名残おしそうに離れると…  相模は機嫌良く鼻歌を歌いながら、部屋を出て行く。 <もしかして… 今夜も抱く気だろうか?! アルファって、トンデモナイ!!>  往診した医師にマキは… 『身体が不安定なら、激しいセックスは止めた方が良いですよね?』  と、質問したら、医師からは逆の答えが返って来た。 『いいえ、オメガの身体は、番のアルファの体液を粘膜から吸収することで、オメガ・ホルモンが安定するので、軽いセックスやキスなら、おすすめしますよ』 (体液だから、精液でなくても唾液や、淫液でも遺伝子情報が含まれていれば良いらしい)  などと医師に言われ、相模は大喜びするが… 『これはマキのためだから!』 と、言いながら…  昨夜、マキに触れた相模のペニスは、すでにフル勃起(ぼっき)状態だった。 <あれは絶対、自分が抱きたかったからに決まっている… エイジさんってば、もう!!>  ニヤニヤと笑うマキ。   <いくら何でも限度があるよね?! でも、(こば)んで浮気でもされたら嫌だし~>  やっぱり、ニヤニヤ笑うマキ。  心の中でブツブツと文句? らしい、誰に聞かせるわけでもない、惚気(のろけ)をこぼしながら、マキはゴソゴソとベッドの中へ潜り込んだ。 <次に出勤するまでに、退職願いを用意しないといけないかも知れない>  医師に確認されて、マキも初めて気づいたことだが… 『避妊はされましたか?』  マキは青くなった。  だが相模は、医師の質問を受けニコニコと機嫌良く笑い、否定も肯定もしなかった。  でも、マキが知る限り… 相模がコンドームを付けるところなど、1度も見ていない。 <エイジさんが何も言わないのを見ると、やはり確信犯なのでは?>  ベッドの中で枕をちょうど良い位置に置き、頭を乗せてマキはため息をついた。 <もう! エイジさんてば、結構子供っぽいとこあるし、困った人だなあ~>  ニヤニヤと笑いながらマキは、相模の子供ならきっと可愛いはずだと、自分たちの未来を想像し… 子供がいるか? いないか? まだ分からない平らなお腹をなでた。

ともだちにシェアしよう!