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第4話-1
その日は突然やってきた。
「え?」
伊藤の言葉に時間が止まった。
その日の作業を終え、顔を洗っていた所に情報を聞いた伊藤が走り込んで来た。
「不知火川さんの特攻が決まった!」
え?
どういうこと?
ぼたぼたと顔から垂れる水滴を拭うことも忘れ、凛は呆然と立ち尽くした。
清明が特攻?
それはつまり、
清明が、
死ぬ?
目の前が砂嵐のように一瞬霞んで倒れるかと思った。
弾かれたように凛は駆け出した。途中足がもつれて何度も転びそうになる。兵舎に行こうとして止める。多分あの草はらにいる、そう思った。
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