14 / 20
第5話-3
「親しい者も作らないでいようと思った」
「どうしてですか?」
「…怖くなるから」
清明の声が掠れる。
「死ぬことが」
清明の瞳が潤んだ。初めて見るその表情に凛はもう涙を堪え切れなかった。
「また泣く」
清明が凛の瞳を覗き込んで笑う。
「お前が泣くから」
清明の声が優しい。凛の心に染みるように降ってくる。
「弟と同じように無防備に俺を慕って泣いてくれるから…俺は…」
清明がたった一人心を開いた人。たった一人特別だと思えてしまった人。
凛の小さな深呼吸。
「俺はいつだって清明さんの特別になりたかったです」
気付いた。
清明だからだ。
ともだちにシェアしよう!