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第5話-3

「親しい者も作らないでいようと思った」 「どうしてですか?」 「…怖くなるから」  清明の声が掠れる。 「死ぬことが」  清明の瞳が潤んだ。初めて見るその表情に凛はもう涙を堪え切れなかった。 「また泣く」  清明が凛の瞳を覗き込んで笑う。 「お前が泣くから」  清明の声が優しい。凛の心に染みるように降ってくる。 「弟と同じように無防備に俺を慕って泣いてくれるから…俺は…」  清明がたった一人心を開いた人。たった一人特別だと思えてしまった人。  凛の小さな深呼吸。 「俺はいつだって清明さんの特別になりたかったです」  気付いた。  清明だからだ。

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