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第5話-4

「俺を救ってくれたのは清明さんです」  特攻という作戦のせいだけじゃない。  清明だから行ってほしくないのだ。 「最初から清明さんの姿に惹かれてた」    自分だって酷い人間だ。  清明が特攻に行かなくて済むのなら、代わりがきくのなら、それでいいとさえ思っている。  人の本心なんて本当は、大事なたった一人に生きていて欲しい、それだけなんだ。    凛がそう思った時、同じように清明が呟く。 「大事な人に生きていて欲しい。それだけなんだな、本当は」 「清明さん…」 「お前に軽蔑されたまま行かなくてよかった。今は別の気持ちがあるから、怖くないよ」  清明の目からも涙がこぼれた。  初めての、涙。  宝石のように美しくて尊くて、宝物のように凛はそれにそっと触れた。 「だから俺は特攻に行く。凛、お前に生きて欲しいから」

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