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【2日目】気になる朝ご飯
この日も快晴で、新緑の香りがする清浄な空気を胸いっぱいに吸いこんで、煜瑾は気持ちよさそうに振り返った。
まだベッドの中にいた文維は、まるで目の前天使に陶酔したような眼差しで、最愛の人を見守っていた。
今は、日本時間の朝6時30分。
先ほど目覚めた煜瑾は、そっとベッドから抜け出した。隣にいる文維が眠っているのを確かめて、薄くカーテンを開け、静かに窓を開けると、深呼吸をした。
「ごめんなさい。起こしてしまいましたか?」
少し恥ずかしそうに笑うと、煜瑾は飛ぶようにして文維が横たわるベッドに駆け戻った。
「もう起きる時間でしょう?」
煜瑾を責めることなく、文維はそう言って身を起こし、ベッドに戻って来た恋人を抱き締める。
「おはよう、煜瑾」
改めてそう言って、文維は煜瑾の額に口付けた。
「おはようございます」
煜瑾の方は、柔らかな笑顔のまま、文維の頬に唇を寄せた。
いつもと変わらない、穏やかで幸せな朝だった。
「さあ、支度をして、朝食に行きましょうか」
「はい!」
朝から睦まじく、文維と煜瑾は手を取り合い、ベッドから立ち上がった。
***
7時前に、なんとか小敏をベッドから引きずり出し、3人は1階のメインダイニングを目指した。
ダイニングの入口で、姿勢の良い、いかにも、な、ホテルマンに案内され、3人はテーブルに着いた。
メニューを手渡され、煜瑾はお目当ての物を探した。
「わ~、ステキですね~」
そこには和朝食が写真付きで載っている。
真っ白なご飯に、お味噌汁、数種類のお漬物や佃煮、写真ではよく分からない小鉢もあるが、何より気になるのが、3段に重ねられた四角い容器だ。
日本人には馴染みのある重箱なのだが、陶製でサイズの小さい、カワイイ重箱だった。
「私はコレにします!コレをいただきたいです!」
キラキラした無邪気な瞳で、煜瑾はメニューを指さした。
それを微笑ましく見つめ、文維は洋定食にあたるパンケーキセット、小敏は煜瑾と同じく和定食にした。
「楽しみですね」
やがて、煜瑾の期待を裏切ること無い、日本らしい丁寧で美しい盛り付けがなされた膳が運ばれて来た。
「わ~さすがに茉莎実ちゃんオススメだけあるな~。ボクもこんなの初めてだよ」
小敏も手放しで喜んでいたが、文維のパンケーキセットが来ると、目の色が変わった。
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