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【2日目】映画村へ行こう!
茉莎実の慎重すぎる運転のおかげで、思っていたよりも時間をかけて4人は太秦にある映画村の駐車場に辿り着いた。
そこから先がまた大変だった。
「嘘でしょ」
思わず小敏が呟くほど、茉莎実の駐車は危なっかしく、車の多い正面ゲートに近い場所ではなく、ゲートからかなり離れた、左右前後に車がないスペースにようやく停車できた。
「駐車だけなら、ボクでも文維でも出来たのに…」
文句を言う小敏に、茉莎実は口答えもせず、顔をしかめてベエっと舌を出した。
「天安門広場じゃないのだし、そんなに歩くわけじゃないですよ」
煜瑾が朗らかにそう言って茉莎実を慰めた。途端に茉莎実はご機嫌になりニコニコしている。
正面ゲートに来ると、文維が全員分のチケット代を払った。
「なんか、前より高くなってる…」
自分の財布が痛むわけでもないのに、不満そうな茉莎実を先頭に、文維たちもお城のような正面ゲートを抜けた。
「あ!忍者がいますよ!」
「本物のサムライだ…」
無邪気にはしゃぐ煜瑾に、文維までもがポカンとしている。
「あっちには、お姫様や天下の副将軍もいるよ」
茉莎実が楽しそうに促すが、3人の中国人には意味が通じなかった。
「誰ですか?天下の副将軍って?」
素直に聞いた煜瑾の口を、小敏が慌てて押さえた。
「いいっ!詳しい説明はいいから、早く見学に回ろう」
すっかりウンチクを一節語るつもりだった茉莎実はムッとしたが、見学の方が大事だと渋々納得し、3人の案内を始めた。茉莎実の長いおしゃべりを遮ることができた小敏はホッとした。
「まずは、ここからね」
茉莎実が最初に案内したのは、「時代劇扮装の館」と看板の上がった建物だ。
「そこそこ時間が掛かるから、先に済ませちゃおう」
「時間?」
愛らしく小首を傾げた煜瑾の右手を茉莎実が、左手を小敏が掴むと、嬉々として建物の中へと入って行った。
〈予約していた百瀬ですぅ~〉
颯爽と茉莎実が受付に行った。
すでに予約済だったとは知らなかった文維と煜瑾だが、茉莎実と小敏は妙にニタついている。
「え?え?」
「小敏、これは…?」
戸惑う文維と煜瑾をよそに、小敏と茉莎実は笑いながら手を振った。
「じゃあ、またあとでね~」
「うん。後はボクに任せて~」
2人はそう言って意味ありげにニヤリとした。そして一同は男女別の更衣室へ入っていった。
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