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【2日目】小姓というお仕事

「あ~!」  その違和感の正体が、写真の中でポーズをとるモデルであることに、煜瑾は気付いた。文維や小敏は男性モデルの衣装であるのに、明らかに煜瑾の「振袖若衆」は女性がモデルを務めている。 「どういうことですか、コレは!私だけ、女装っていうコトですか!」  その事実に気付いた煜瑾は、唐家の名誉が傷ついたとでも言いたそうに、茉莎実と小敏に抗議する。 「違うってば!『振袖若衆』って言うのは、とっておきの美少年役なのよ。美少年役のモデルがいなかったから女性モデルな訳で…」 「女性でも美少年の恰好が出来るという、グローバルな視点からだね、こういうことになっているけど、実はちゃんとした『小姓』っていうサムライの衣装なんだってば」  茉莎実と小敏が必死になって説明すると、何となく煜瑾も受け入れたようだ。 「本当ですか?私に、女の子の格好をさせて写真を撮って、あとで笑うつもりじゃないでしょうね」  まだ訝しむ煜瑾に、文維が耳元で囁いた。 「『小姓』というのは、いつでも『お殿様』の傍にいるお仕事らしいですよ」  その一言に、煜瑾はパッと表情を変えた。 「『お殿様』ということは、ずっと文維と一緒、ということですね」  文維の言葉にすっかり機嫌を直した煜瑾は、さっそく「お殿様」と並んで撮影に入った。  その様子に、ホッとした小敏と茉莎実だった。  文維と煜瑾に「お殿様」と「若衆」の扮装をさせたいと言い出したのは、もちろん腐女の茉莎実で、小敏もそれに異議を唱えることはしなかった。 「イイねえ、それ!」  むしろノリノリで茉莎実の企みに協力したのだ。 〈あ、写真代はいくらでも払うので、「お殿様」と「若衆」の後は、1人ずつのも撮影して下さい。あと、最後に、全員揃って4人での写真もお願いします〉  文維と煜瑾の撮影が始まると、茉莎実は慌ててカメラマンにお願いした。  カメラマンから許可をもらうと、小敏がそれを通訳した。 「私も、文維の写真が欲しいです」  煜瑾が可愛らしいワガママを言うと、小敏も思い出しように付け加えた。 「ん~、叔母さまも文維と煜瑾の写真、欲しがるかも。煜瓔お兄さまも、煜瑾の写真は絶対欲しいだろうし…」  小敏がいろいろと考えを巡らせて写真の数を数え始めると、さっそく茉莎実が気を利かせて質問する。 〈写真は焼き増しできますか?〉 〈はい。サイズによって変わりますが、1枚2000円からです〉  それを茉莎実が通訳する前に、理解した小敏が声を上げる。 〈焼き増しします。メチャクチャします!〉

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