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【2日目】お殿様と小姓の撮影
撮影した写真も、焼き増し分も、全部買う気満々の小敏の勢いに押されて、担当者が遠慮がちに付け加えた。
〈あまりにたくさん撮影されますと、今日中にお渡しできないかもしれません。それと、中国までの郵送は、ちょっと…〉
その一言にガッカリした小敏に、慌てて茉莎実が付け加える。
〈あ、私の実家が京都だから、そこに送ってもらえば大丈夫です〉
〈京都市内でしたら、ホテルにお送りすることも出来ますよ〉
担当者は気を使ってくれるが、茉莎実はにこやかに答えた。
〈ま、ウチなら、もし彼らが帰国した後でも届けられるし〉
〈そうですね。では、撮影をお待ちの間に、念のためこちらにご住所をお願いできますか〉
そうこうしているうちに、文維と煜瑾は、プロのカメラマンに「お殿様」と「小姓」に相応しいポージングをされて、なんとくサマになった写真を撮っていく。
茉莎実にはなんとなく2人が中国人だということは分かるが、さすがにこの姿をすると国籍も不明な見た目になっていた。
「なんだかよく似合ってて、日本人みたいだね」
小敏も同じことを思ったのか、茉莎実の耳元に囁いた。
「要するに、イケメンに国境は無いってことよ」
「確かに…」
文維の「お殿様」の刀を持って控える煜瑾の「小姓」。
非力ながらも主人である「お殿様」守ろうとする「小姓」。
「あれ?」
しばらくは、「なるほど」と思える場面が続いたが、だんだんおかしな方向へ向かっていることに小敏は気付いた。
バックハグを仕掛ける「お殿様」と嬉しそうに振り返る「小姓」。
しっかりと手を握り合い、見つめ合う「お殿様」と「小姓」。
「ねえ、茉莎実ちゃん、なんか変じゃない?」
「なんで私の好みがバレてるんだろう」
茉莎実は腐女のオーラ全開で、目をハートにして文維と煜瑾を見守っている。
「ま、いいか…」
なぜか2人のラブラブ写真が撮影されるのを見ながら、小敏も口元を緩めた。
(とっても似合ってるし、とってもカワイイからいいよね~)
そんなこととは気付かず、文維と煜瑾はカメラマンさんに指示された通りのポーズを真面目に続けた。
2人は真剣な顔をしつつも、仲睦まじく、甘く、幸せそうな雰囲気を醸し出し、写真の出来上がりに期待を高めた。
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