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【2日目】イケメンとの撮影

〈写真お願いできますか?〉 〈一緒に写真を撮って下さい〉  プロのカメラマンによる撮影を終えると、4人は映画村内の1時間の散策に出た。  あっと言う間に目敏い観光客に気付かれ、イケメン3人組は次々と写真を頼まれるが要領の良い羽小敏が器用に捌いていく。 〈ボクたち、映画村の俳優さんじゃなくて、観光客なんで1人1人と写真を撮る時間が無いんだ。みんな一緒に、ならいいけど〉  3人のイケメンそれぞれとのツーショットを期待していた女性陣は、不満そうな顔をする。 〈さあ、並んで、並んで!カメラとスマホ、預かりましょうか?〉  仕事柄なのか、イベントなどに慣れた茉莎実が声を掛け、急かした。 〈ああ、良かったら私がカメラマンになりますよ。町娘さんも入って下さ~い〉  そこへちょうど通りかかった映画村所属の俳優さん何人かが、親切に撮影係を買って出てくれた。 「同心」や「くノ一」や「新選組」の人たちが、それぞれのカメラやスマホを預かって、何枚かポーズを変えながらシャッターを切った。 〈すみません、私たち4人と皆さんとで撮影したいんですが…〉  茉莎実が遠慮がちにお願いすると、俳優さんたちは快く引き受けてくれる。これも彼らの仕事のうちだからだ。 「こちらの俳優さんと撮影できるって」  小敏が、文維と煜瑾に通訳すると、2人は嬉しそうに頷く。その様子を見て、くノ一さんが茉莎実に囁きかけた。 〈失礼ですけど、お殿様と若衆のお2人って、外国の方ですか?〉 〈正確には、3人とも中国人ですよ〉  それを聞いた他の俳優さんも、意外そうに3人のイケメンを見直す。一瞬、何となく微妙な空気になるが、新選組さんの1人が明るい声でその場を取り繕ってくれる。 〈まあ、日本人でこんなにイケメンなら、俺たちの商売も上がったりだから~〉  こんなに日本の時代劇の扮装が似合いながら、日本語が通じないという違和感に、全員が妙な笑いを浮かべてしまう。 〈ありがとうございました~!〉  プロの俳優さんたちにポーズをつけてもらい、カッコイイ写真を撮れた4人は満足して、おススメのオープンセットの撮影場所を教えてもらい、お礼を言って別れた。

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