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【2日目】プロのお仕事をナメてはいけません!
「怖かったですね~」
そう言いながら最初に飛び出してきたのは、唐煜瑾だった。その美貌は、満足そうな笑顔だ。
「ふふっ、煜瑾は大人気でしたね」
その後ろから、苦笑しながら出てきた文維が言った。
「どうだったの?」
「お化けさんたちが、私を怖がらそうとして、楽しかったです」
「煜瑾が、カワイイからですよ」
怯える茉莎実の前で、文維と煜瑾はイチャイチャと楽しそうだ。
なるほど、と茉莎実は思った。
子供のように純真で清らかな心の煜瑾は、子供のようにお化けを怖がると決めつけていたが、むしろあまりにも穢れを知らない天使であるゆえ、悪意のある存在を怖れもしないのだ。
「あれ、小敏は?」
不思議に思った茉莎実が文維と煜瑾が出てきたばかりの出口を覗き込むと、そこに真っ青な顔をした羽小敏が座り込んでいた。
「どしたの?」
いつもは元気で明るく、素直な笑顔で人の心を開く、小悪魔の小敏が、魂を抜かれたかのようにぐったりとしている。
「…こ、怖かった…」
意気揚々と化け屋敷に入って行った小敏だったが、お化けを怖がる様子もない不遜な態度に、俳優たちがちょっと悪戯をしたようだ。俳優たちの本気を、小敏はトコトン思い知らされたようだった。
「だから言ったでしょう?」
呆れたように茉莎実が手を出すと、小敏はその手を取ってやっと立ち上がった。
「何、アレ!逃げてるのに、ずっと追いかけて来るんだよ!」
「そう言うことなのよ。怖がらせるのがお仕事なんだもの。プロを舐めてんじゃないわよ」
自分の判断が正しかったと言いたそうに、茉莎実はまだ顔色の悪い小敏に説教をした。
「あんなに怖いと思わなかったんだよ~」
泣き言を繰り返す小敏を、文維と煜瑾はクスクスと笑った。
「じゃあ、元気を出すために、お土産を買って、オヤツを食べに行こうか!」
茉莎実がそう言うと、パッと小敏と煜瑾の目がキラキラと輝く。
「茉莎実さん、おススメのお土産はなんですか?」
煜瑾の質問に、茉莎実はちょっと考え込んだ。
「う~ん。人気があるのは、アニメとか特撮とかとのコラボグッズなんだけど…。煜瑾は、どっちも知らないよね」
「そうですね…」
一緒に考えこんでいた煜瑾だったが、ハッと気づいたように顔を上げた。
「手裏剣を買います!忍者の手裏剣!」
先ほど、子供たちに交じって忍者の手裏剣教室に参加していた煜瑾が、思い出したように叫んだ。
「じゃあ、お土産買って、オヤツを食べよう!」
すっかり元気になった小敏を先頭に、お化け屋敷での恐怖を忘れたように、明るく笑いながら4人は歩き出した。
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