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【2日目】映画村から二条城へ
日本のアニメや特撮が大好きな小敏が、両手にグッズがいっぱい入った紙袋を持って、ホクホクしている。
煜瑾は、手裏剣はじめいくつか買った忍者グッズを文維に説明している。嬉しそうな煜瑾に、茉莎実はこんなに喜んでもらえたなら、頑張って不安な運転をしてまで太秦の映画村まで来てよかった、と思った。
「ねえ、ねえ、オヤツはどこで食べるの~?」
アニメのキャラクターがプリントされたお菓子をいくつも買った小敏が、それらを食べたそうにしながら、ワクワクと期待して、ハンドルを握る茉莎実に訊ねる。
「ん、二条城でお抹茶とお菓子のセットなんてどうかな~」
「二条城!」「お抹茶!」
茉莎実がちょっと様子を窺うように切り出すと、煜瑾と小敏はさも嬉しそうに叫んだ。
「え?な、何?二条城に行きたかったの?」
驚いた茉莎実が言うと、煜瑾は大きく頷いた。
「有名な画家による、とても美しい装飾画があると聞いています」
真面目な煜瑾は、前回、京都観光に来た後、行った場所のおさらいや、行かなかった場所を確認し、いつかまた、と夢を膨らませていたのだ。
その中の1つが、世界遺産でもある二条城の唐門と障壁画だった。
「今、ちょうど障壁画の特別展示をやってるんだって。休憩所ではお抹茶とお菓子もいただけるし」
「狩野派の障壁画ですね。期間限定の展示だと聞いていたので、チャンスは無いと思っていたのです」
煜瑾は大きな黒い瞳をキラキラと輝かせている。
その無垢な美貌に文維は満足そうに微笑んでいた。
「日本の画風に、中国風の画風が合いまった、とても独特で美しい絵だそうです」
絵画が好きな煜瑾にはピッタリな観光地と言えた。そこまで考えていた茉莎実ではなかったが、思いがけずに煜瑾が喜んでくれたのが嬉しかった。
何とか車を停めて、4人は重要文化財でもある東大手門から二条城へ入った。
「いかにも、日本のお城って感じだね」
整然と積まれた石、漆黒の門、どれもが中国の王宮や城郭とは違う。
ちなみに、日本語で「城」というと建物を示すが、中国語での「城」は街そのものを意味する。
「先に御殿の見学をして、休憩して、最後にたっぷり時間を取って障壁画を見ましょうよ」
茉莎実の提案に、誰も不満はなかった。
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