24 / 30

【2日目】オヤツを満喫

「文維は?」  それぞれの注文を済ませ、黄金ソフトクリームが出来るのを待つ間、煜瑾は甘い物を食べない文維が、何も注文をしていないことを心配そうに言った。 「ああ、私は…何か、飲物でも…」 と、言いかけた文維を、小敏が遮った。 「文維は、抹茶ビールがいいよ」 「は?」  そのまま説明も無しに小敏は、香りの高い抹茶を使ったグリーンティーに、相性の良いビールを注いだ、抹茶ビールというものを追加で注文した。 「お待たせしました、抹茶ビールのお客様」  スイーツに比べて、抹茶ビールは手軽なのか一番に声が掛かった。  文維には珍しく、おっかなびっくりという態度で手を伸ばすと、グラスの中には緑色の液体が満たされている。 「う~ん…」  ビアグラスの中の淀んだ青汁のような飲物を、一同は物珍しそうに凝視してしまった。そのまま視線は、何かを期待するように文維に注がれる。  その期待に応えるしかない空気に、文維はおそるおそるグラスを口に運んだ。 「……」  その瞬間、文維の表情が変わった。 「どうですか、文維?」  心配そうに見つめる煜瑾に、文維はふんわりと笑いかけた。 「うん。案外イケますよ」  小敏、煜瑾、茉莎実は、その言葉が信じられないという表情になり、目を見開く。 「そうですね~、ビールというよりも、抹茶系ビアカクテル、という感じかな」  文維はそう言って、煜瑾の口元にグラスを差し出した。まるで当然の流れのように煜瑾はそれをひと口飲んだ。 「ああ、こういうコトなのですね」  味見をして、煜瑾もやっと納得したようだった。その様子に、急いで小敏も文維の手からグラスを取り上げて口にした。 「ああ、なるほどね~」  思わず、続きで同じように手を出し掛けた茉莎実だったが、ドライバーであることを思い出して、渋々諦めた。 「黄金アイスのお客様~」  呼ばれた小敏は、煜瑾を促して、カウンターに受け取りに行く。順番的に次は自分だと思った茉莎実も、いそいそと2人の後ろに並んだ。  小敏は、バニラソフトクリームに金箔を貼った黄金ソフトを受け取り、煜瑾は、その小さいサイズの抹茶ソフトクリームの黄金ソフト、茉莎実は白玉ぜんざいソフトを手にした。  3人で並んで、文維に写真を撮ってもらうと、親切な人が文維を入れて4人を撮影してくれた。 「ソフトクリームは食べたら終わりだけど、こうやって写真が残れば、後で見るのが楽しみだね~」  小敏が楽しそうにそう言うと、煜瑾は大きく頷いた。

ともだちにシェアしよう!