7 / 54
第7話 可能性？
「あっ……ああっタイチっ……」
「痛いのか？」
「痛くありませんっあっ……あっ……もっと、もっと挿れてください、遠慮せずに」
もう一本ぐらい突っ込んでみるか、と指を３本に増やしてみる。
「ああん……タイチ……なんか変です。ボクまで身体が熱くなってきた」
ふと見るとヨシュアのモノが立派に大きくなっているではないか。
「ヨシュア、挿れていいか」
「挿れてください……遠慮はいりません」
太一は指を引き抜いて限界まで張りつめていた自分のモノを一気に押し込んだ。
「ヨシュア……すげえ……気持ちいい……こんなの初めてだ」
「それはよかった……あっボクも……ボクも気持ちいいです」
「ヨシュア、お前の中、熱いんだな」
「そうなんですか……ボクも知りませんでした」
太一は朦朧とする頭の片隅で不思議に思っていた。
ヨシュアの体温は低そうなのに、身体の中は熱くて、人間と変わらない。
「ヨシュア……お前も生きてるんだな。血が通ってるんだ」
「当然です！ ヴァンパイアはゾンビではありません！」
ヨシュアはちょっとふくれたような顔になった。
「ごめん……気持ちいいよ、お前の中。動いていいか？」
「動いてください。痛くありませんから」
「ヨシュア……ああ……」
「タイチっ……ああっ……ボクも出そうです」
「いいぜ、ヨシュアも気持ちよくなれよ。手伝ってやる」
思う存分ずぶずぶとヨシュアを貫きながら、前を扱いてやると、ピンクのきれいな精液が飛び散った。
「ああっタイチっ……すごい、すごい気持ちいいです……あっもっとっ……」
「ヨシュア、気持ちいいか？ もっと激しくしてもいいか？」
「もっとしてください……ああ……そこがすごく……いいっ」
気が遠くなりそうな快感とともに太一はヨシュアの中に欲望をはき出した。
それなのに、まだ熱はおさまらない。
「ヨシュア……俺、変になりそうだ。まだおさまらない」
「もっと出せばいいのでしょう？ タイチ、もっと気持ちよくなって……」
「ヨシュア、もっと深く挿れたい……後ろ向いてくれないか」
「こうですか？」
ヨシュアは素直によつんばいになると、太一の方へ尻を突き出した。
みるみる太一の欲望はふくれあがっていく。
突き刺すように奥まで挿れると、ヨシュアが悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
「ヨシュア、ごめん、止まらねぇ」
「いいんです……すごく気持ちいいです……もっと突いて……」
「いいのか？ いいんだな？」
激しく突き上げながら、太一は自分のことをケモノじみていると思う。
だけど、ヨシュアは気持ちよさそうにしている。
可愛い……可愛いヨシュア……
嵐のようなセックスだった。
５、６回達するまで太一は自分を止められなかった。
ヨシュアは目に涙をためて、太一にすがりついている。
「ヨシュア……ヨシュア……ごめん……本当にごめん、こんなひどいことして……」
「いいのです、ボクがきちんとブラッドリーフの説明をしなかったのがいけないんだから。タイチは悪くありません」
ヨシュアは優しく太一を抱きしめた。
「ヨシュア……もし許してくれるのなら、最後にもうひとつだけ頼みを聞いて欲しい」
「なんですか？ タイチの頼みならなんでも」
「ヨシュアにキスしたい」
「キス……に特別な意味はありますか？」
「挨拶みたいなもんだよ。好きな相手にする挨拶だ」
「なるほど……それなら。どうぞ」
太一は罪悪感を消そうと、精一杯優しい口づけを落とした。
何度も、何度も。
「タイチ……人間には素敵な挨拶がありますね。何か、胸が熱くなりました。変だな」
ヨシュアは少し照れたように笑った。
「それと、タイチのセックスは素晴らしかった。ボクは１２０年生きてきて、こんなに気持ちがよかったことは初めてです」
「そっか……ヨシュアがそう言ってくれるなら……」
太一は熱がすっかり冷めて、自分のしてしまったことを激しく後悔していた。
よりによって、自分がヨシュアを抱いてしまうなんて。
素直に喜んでいるヨシュアに申し訳なくて、太一はぎゅっとヨシュアを抱きしめた。
「ヨシュア、勢いでお前を抱いてしまったけど、俺は男だからお前と結婚してやることはできない」
「そうですね……日本の法律では男同士は結婚できないのでしたね」
「イギリスではできるのか？」
「なにやら最近できるようになった、という話は聞いたことがあるのですが、詳しくは知りません」
太一は一瞬ドキっとした。
イギリスでは結婚できる、とヨシュアに迫られたらどうしようか、と思ったのだ。
「大丈夫ですよ。ボクはタイチを仲間にしたりしません。約束します」
ヨシュアは寂しそうに笑顔を浮かべた。
「それにタイチのおかげで可能性が広がりました」
「可能性？」
「そうです。ボクは伴侶は女性でないといけないと思い込んでいたけれど、よく考えたら別に女性じゃなくてもいい。男でもいい、と考えたら可能性は倍になるでしょ？」
「そりゃあ、単純計算すれば倍だけどよ……」
「ボクはもともと女性が苦手です。男とセックスできると分かっただけでも、新しい世界が開けた。タイチのおかげです！」
前向きなんだか、よくわからんが……
なあ、ヨシュアよ。
お前、吸血鬼な上にゲイだったのか。
そりゃあ、ますます相手を見つけるのは難しいぞ……
太一はまた大きなため息をついた。
ともだちにシェアしよう！
