翌日、隆二がヨシュアのマンションに訪ねてきた。 　多分ここへ逃げ帰っているだろうと思っていたらしい。 「そうか。お前はヨシュアと生きていくと決めたんだな。」 「そうなんだ。イギリスへヨシュアと一緒に行く」 「俺とお前はもう同じ時間を生きていくことはできないんだな……」 　太一の無事を喜んだものの、隆二は寂しさを隠せない。 　恋愛感情はなかったが、太一はずっと自分のそばにいるものだと思っていたのに。 「隆二。店のこと、ごめん。俺がいないと大変だろうけど」 「心配すんな。元はひとりでやってた店だ。なんとかなる」 「リュウジさん、ごめんなさい……」 「しかしヨシュアが吸血鬼ねえ……どうにも信じられねえ」 「すみません……あまりヴァンパイアらしくなくて」 　ヨシュアは隆二に何度も吸血鬼らしくねぇと言われて小さくなっている。 「まあでも、ヨシュアは太一の命の恩人だものな。お前らが幸せならそれでいいよ」 　生きていれば、また会える。 　太一が生きているのは、ヨシュアのお陰だ。 　それだけでいい。 　そして太一はヨシュアの故郷へ一緒に旅立つことになった。 　新米ヴァンパイアとしてどんな人生が始まるのだろう。 　それは、太一とヨシュアがイギリスに到着してからのお楽しみ。 【弱気なヴァンパイア　第１章　太一＆ヨシュア　～End～】