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第22話 ★番外編SS1★ 衝動
ヨシュアの襟元に目がとまる。
真っ白な首筋……
ああ、そこにキスしたいなあ……
思わず太一がヨシュアの首筋をすっとなでると、ジョゼが目をむいて怒鳴った。
「おいっ! タイチ! 真っ昼間っからサカってんじゃねぇよっ」
「えっ。サカってって……」
「まったく……そういうことは、オレのいない時にふたりきりでやれっ!!」
顔を真っ赤にしてジョゼはバタバタと部屋を出ていった。
なんなんだ……いったい。
ヨシュアを見ると、ヨシュアまで顔を赤らめてうつむいている。
「あ、あの……もしかして……タイチはボクの血を吸いたいのですか?」
消え入りそうな声でヨシュアは顔を真っ赤にする。
血……?
ヨシュアの血……
そうだ、俺はヨシュアの血が吸いたい。
吸いたくてたまらない。
「あの……きょ、今日は満月だもんね。もし吸いたいんだったら……」
「吸いたい! ヨシュア……吸ってもいいか?」
太一は思わずヨシュアにつめ寄って、首筋に指を這わせた。
「いいけど……あの……こんなところじゃ……」
ヨシュアは真っ赤な顔で太一の手を引いて、寝室へ連れて行った。
明かりを消して、鍵までかけている。
「どうしたんだ? 血を吸うのは見られてはいけないことなのか?」
「いけなくはないけど……さすがにそれを見られるのは恥ずかしいです……」
恥ずかしいのか?
セックスを見られても平気なヨシュアが、恥ずかしがって俺の胸に顔をうずめる。
「俺、変かな? 血を吸いたくなるのは変なことか?」
「いえ……タイチはまだヴァンパイアになりたてだから、吸血衝動が強いのです。ボクも若い頃はそうでした」
「普通のことなのか?」
「好きな人ができると吸いたくなるんです……ボクは子供の頃ジョゼに噛みついて怒られたことがあった」
そうか。なるほど。
どうやら人間の性欲と同じようなものらしい。
「だから……タイチはボクの血が欲しくなるのです。吸ってもいいですよ」
ヨシュアを抱きしめてベッドに押し倒す。
白い首筋に唇を落として……牙をたてた。
「ああっタイチっ……あああ……」
ヨシュアが恍惚とした表情を浮かべる。
ヨシュアの血が流れ込んでくると、身体が熱くなってくる。
気持ちいい……満たされていく……
「タイチ……ボクを抱いて……」
ヨシュアは突然身体を起こすと、衣服を脱ぎ捨てて太一のズボンも剥ぎ取った。
「お、おいヨシュアっ」
「お願い、今すぐシたい……」
ヨシュアは太一のモノにローションをぬりつけ、いきなり太一の身体をまたいだ。
「おい、いきなりは無理だろっ」
「いいんです、ボクは痛いぐらいのほうが好きだから!」
無理矢理狭いところをこじあけるように、ヨシュアが腰を沈める。
「おいっ! あっ……ヨシュアっ」
「タイチっ……挿れてっ……もっと、もっと奥まで……」
「ああっヨシュアっ……くそっ」
太一は無理矢理に下からヨシュアを思い切り突き上げた。
「あああっタイチっ……すごいっ……」
ヨシュアは狂ったように激しく腰を振り出した。
ダメだ……持っていかれる……
「ヨシュアっ……そんなにしたら出ちまうっ」
「出して、タイチ。ボクも……ボクもイきそうっ」
異常に興奮する。
血を吸ったからだろうか?
ドラッグにでもやられているように、身体が熱い。
「タイチっ……タイチ……ボクもタイチの血が吸いたい……」
「いいぞ、ヨシュアも吸えよ……」
太一が激しく下半身を突き上げると、ヨシュアは夢中で太一の首筋に牙をたてた。
「あっ……ああっ、ヨシュアっ!」
なんだ……これは。
気持ち……良すぎる。
吸い取られていく……
身体が……痺れる……
「ヨシュア……もっと……もっと吸ってくれ……あああっ!!」
身体をがくがく震わせながら太一はヨシュアの中に思い切り放出した。
「タイチっ、ボクのも吸って……イクっ」
太一はまた思い切りヨシュアの首筋に噛みつく。
血が流れ込んでくる……気が狂いそうだ……
夢中で下からヨシュアを突き上げた。
「あああ……イクっ……イクっ!」
「俺もっ……また……ああっ」
震える身体を抱きしめ合って、血の滴る唇をぴちゃぴちゃと舐め合うようにキスをする。
「ヨシュア……俺、ヤバイわ……これ、くせになりそう」
「ボクも……すっごく気持ちよかった」
まだ全身が痺れるような恍惚感に包まれている。
ヴァンパイアがセックスを必要としない理由が、わかったような気がする。
血を吸われるのがこんなに気持ちいいなんて。
「ああ……俺まだもっとヨシュアの中に出したい」
「ボクも……ああん……んんっ……あっ」
「また、イクとき吸ってもいいか?」
「吸って……いっぱい吸ってほしい……」
何度もお互いの首筋に牙をたてて、狂喜のような絶頂を迎えて。
さすがに泥のように眠った。
「ヨシュア……お前、もうちょっと襟の開いてない服着ろよ……」
ジョゼが顔を赤らめて、ヨシュアから目をそらす。
ヨシュアの首筋にはキスマークのようにいくつもの吸痕がちらばっている。
セックスはじっと見るくせに、ジョゼにも吸痕は恥ずかしいもんらしい。
「お前らいったい何回吸ったんだ……鬼畜か、タイチは」
呆れたようにジョゼは太一を軽くにらんだ。
「その……タイチはまだヴァンパイアになったばかりだから……吸いたいさかりなのです」
ヨシュアが恥ずかしそうに小さな声で言う。
「いくら吸いたいさかりだからって……脳ミソ溶けるぞっ!」
ジョゼは顔を赤くしてバタバタと出て行ってしまった。
ヴァンパイアの恥じらいポイントというのはよくわからん。
でもそれ以来、ヨシュアの首筋を見ると太一もなんとなく恥ずかしいような気がしてくる。
俺も少しはヴァンパイアらしくなってきた、ということか。
【番外編SS1 衝動 ~End~】
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