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第33話 思い出に

「や……リュウジ……ダメっ……そこは……ああっ」  みるみる乱れていくジョゼの姿を見て、隆二は自分も興奮していくのを感じていた。  もっと乱してやりたくなる。 「気持ちよさそうだな。イッてもいいんだぞ」  イク、というのは出るということだったな、とジョゼは初めて理解する。  後ろに指を突っ込みながら、前を扱いてやると、ジョゼは身体を跳ね上がらせた。 「ああっ! ダメっ! 出ちゃうっ!」 「いいぞ、1回イッとけ」  ビクビクっと痙攣するようにジョゼが達したのを見て、隆二は驚いた。    鮮やかなピンク色の精液。  ジョゼが人間じゃない証拠……  隆二はまだ肩で息をしているジョゼの足を抱え上げる。 「ジョゼ、挿れるぞ」 「うん……」  ジョゼは夢中で隆二にしがみついた。  身体の中に固いものがすこしずつ押し込まれていく。  震えるような快感が生まれる……  ヨシュア……ヨシュアの気持ちが今やっとわかるよ……  こんなことされててても、嬉しいんだ…… 「大丈夫か?」  最後まで挿れてしまってから、隆二はジョゼの髪をなでて優しく見つめる。 「大丈夫だけど……入っているとこ、見たい」  好奇心旺盛なジョゼらしい台詞に隆二は笑ってしまう。  ジョゼの膝が頭の横につくぐらい押し上げて、繋がっている部分をジョゼに見せてやった。 「ほら、お前の中に俺のがちゃんと入ってるだろ」 「ほんとだ……入ってる」  ぎりぎりまで引き抜いて、またゆっくりと挿れるところを見せつけてやると、ジョゼは嬉しそうに涙を浮かべて震えだした。 「あ……ああ……気持ちいい……すごい……リュウジ……」 「俺もお前の中は気持ちいいぞ……ジョゼ……」  キスをしながら、ジョゼの喜ぶ場所を激しく突いてやる。  こんな激しいセックスは久しぶりだ、と隆二は思う。  華奢なジョゼを壊してしまいそうだ。 「リュウジっ……もっと……もっと……ああっ」 「ジョゼっ、俺がイッちまいそうだ」 「いいよ……出して、リュウジも気持ちよくなって……」  我慢できなくなった隆二は思いきりジョゼの中に欲望をはき出す。  ちきしょう、女とヤるより気持ちいいぜ……    眠って、目覚めて、隆二は体力の続く限りジョゼを抱いた。  太一たちと一緒にイギリスへ帰ると言っていたから、しばらくは日本には戻ってこれないんだろう。  抱かれている時のジョゼの幸せそうな顔を、胸にきざみつけていた。  休業の札を出して、店でジョゼと二人でワインを飲んだ。  ジョゼに教えてもらって、一緒ににんじんでモアイの像を造った。  狭い風呂にも一緒に入って、子供にするように身体を洗ってやった。  そんなことで喜んでいるジョゼが可愛くて仕方がなかった。  夜が更けて、さんざん抱き合って、時間は飛ぶように過ぎた。 「リュウジ……ありがとう。いい思い出になった」  ぽつり、とジョゼがつぶやく。 「おい、お前は俺を思い出にしちまうつもりなのか?」    驚いたように真剣なまなざしを向けてくる隆二に、ジョゼは答えることができなかった。  隆二から料理を取り上げることはできない。  それはジョゼの心の中で決まっている答だった。 「また会いに来れるとは思うけど、すぐには無理かもしれない」 「そうか……」  無理は言うまい。  ヴァンパイアにはヴァンパイアの都合ってもんがあるんだろう。  隆二はジョゼを手放したくなかったが、それ以上は何も言えなかった。 「リュウジ……このまま側にいて仕事を手伝ってあげたいけど……ごめん」 「そんなこたぁ気にしなくていい。こんな店は俺一人で十分だ。一週間お前はよく手伝ってくれた。助かったよ」  正直、太一がいなくなった時に、店なんか辞めてしまおうかと思ったこともあった。  続けていたのは、他にすることがなかったからだ。  それでもこうやって続けていれば、太一やヨシュアやジョゼが日本に来た時に、帰ってくる場所になってやれる。 「リュウジ、オレのこと、忘れないで」 「馬鹿野郎、そいつは俺の台詞だ。お前らの方がずっと長生きするんだからな」  笑って見送ってやろう。  また戻ってくることがあったら、笑って迎えてやろう。  そう思いながらジョゼを抱きしめてやるのが、隆二の精一杯のやせ我慢だった。  3人がイギリスへ帰ってしまえば、また一人の生活が始まる……  ただ働いて眠るだけの毎日が。  翌朝隆二が目覚めると、ジョゼはもう起きて仕入れの支度をしていた。 「市場、行くんだろ?」 「ああ、そうだな……」  ジョゼを助手席に乗せるのも今日が最後か。    午後にはお土産をいっぱい抱えた太一とヨシュアが戻ってきた。 「ジョゼ! ジョゼにもお土産買ってきたよ!」  木彫りの熊の置物やらオルゴールの箱やら、ヨシュアは山ほど買い物をしたようだ。  太一は完全にヨシュアの荷物持ちだったようである。 「ジョゼは? 何してたの? リュウジさんにどこか連れていってもらった?」 「ああ、毎日一緒に市場に行って、アルバイトをしていた」 「アルバイト?」 「一週間働いたら、ごほうびくれるってリュウジが言ったんだ」 「ごほうびもらったの? 何?」 「それは、オレとリュウジだけの秘密だ」 「えーっ! ずるいよ、教えてよ」  ヨシュアがふくれっつらをしたが、ジョゼは教えなかった。  これはオレとリュウジだけの思い出だ。 「ジョゼ、こいつは俺からの餞別だ」  隆二はきれいに洗濯してたたんだ作務衣をジョゼに差し出した。 「ありがとう……リュウジ。嬉しい」 「そいつはお前のもんだ。よく似合ってたからな」 「俺が着てたやつじゃないか」  太一が懐かしそうに作務衣を手に取って眺めている。  

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