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第40話 お仕置き
「あ、お帰り! タイチ」
隆二たちが部屋に戻ると、ヨシュアとジョゼはおしゃべりをぴたりと止めた。
どうせ昨晩の隆二の話題で盛り上がっていたんだろう。
「シャーベットできてるよ」
「ああ、ノド乾いたなあ」
向かい合ったリビングのソファーに太一とヨシュア、隆二とジョゼがそれぞれ並んで座っている。
「ヨシュア~疲れるとヨシュアの血が欲しくなるよ」
「ダメだよっタイチ、こんなところで……」
いつもの太一の冗談だろうと思ってヨシュアは軽くよけようとするが、太一はお構いなしにヨシュアの腕をつかんでソファーに押し倒してしまう。
「おいっ! お前ら! そういうことはふたりきりの時にやれって言ってるだろ!」
ジョゼが顔を赤くして太一に文句を言うと、今度は隆二がジョゼを突然抱きしめて首筋に唇を寄せた。
「ジョゼ……俺も疲れたからちょっと吸わせてくれよ」
「リュ……リュウジっ! こ、こんなところでダメだったらっ! ひあっ」
隆二はジョゼの頸動脈に沿ってにねっとりと唇を這わせてやる。
「や…やめてっ……は、恥ずかしいだろ……リュウジっ! あああっ……」
「タ……タイチっ……やっ……ああん……んん」
思い切り血を吸った太一と隆二は目を合わせてニヤっと笑った。
「ひどいよ……タイチ……」
ヨシュアは涙目で太一にしがみついていて、ジョゼはカンカンに怒っている。
「まったく! リュウジまで何するんだよっ! 鬼畜っ!」
「人間だってセックスのぞかれりゃあ恥ずかしいんだよ。太一のセックスのぞいてた罰だ」
隆二がニヤニヤしながら言うと、ジョゼは自分に思い当たることがあるのでがっくりうなだれた。
「ごめん……もうのぞかない。だから、もうあんなことやめて」
「さあ、どうだかな。俺たち元人間は血を吸うのは全然恥ずかしくねぇからなあ」
「そうそう。吸うのも吸われるのもへっちゃらだよな!」
ヨシュアとジョゼは顔を赤らめて困った顔をしている。
このふたりをいじめるのは簡単だ……
太一と隆二は新しい遊びを見つけたような気分になったのであった。
【番外編SS2 人間的見解 ~End~】
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