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第45話 ★番外編SS4★ AV

 ある日のこと、ジョゼのところへヨシュアがやってきた。  なんだか半ベソをかいて、ジョゼに泣きついているようである。  隣の部屋で本を読んでいた隆二は、邪魔をしないようにそっと立ち聞きをしていた。 「タイチはやっぱり女の人の方が好きなのかなあ……グスン」 「前はそうだったかもしれないけど、今は違うだろ」 「じゃあ、なんで女の人のAVなんて見るのさっ!」 「う~ん……でもさ、浮気したわけじゃないんだから」 「女の人が好きなら、これから浮気する可能性だってあるじゃない!」  どうやら聞こえてくる会話の様子から、太一が女性のアダルトビデオを見ていたところをヨシュアが目撃したようである。  あいつはもともと女好きだったからなあ……と隆二はため息をつく。  しかし男がアダルトビデオを見るのは娯楽のようなもので、別に浮気心というんでもないだろうけどな、と隆二は思う。  隆二はちょっと太一に注意しておいてやろう、と思い、こっそりと部屋を出て太一のところへ向かった。 「お~い、太一、いるのか?」 「隆二か? こっちこっち」  訪ねてみると、太一は奥の部屋でパソコンに向かっている。  最近ヨシュアからインターネットの使い方を習ったようだ。  のぞきこんでみると、確かに太一はエロサイトの動画を見ている。 「何やってんだよ」 「いや、これさ。昔このAV女優が好きだったんだよなあ~」  太一はまったく悪気はないようで、無邪気にエロ動画を隆二に見せようとする。 「そういうの、見る時は気をつけろよ。ヨシュアがジョゼに泣きついてきたぞ」 「え? ヨシュアが?」  太一は驚いたように振り返る。  どうやらヨシュアがのぞいていることも気づかずに、見ていたんだろう。 「でもさ、ヨシュアだって男なんだからエロビぐらい見たことあるだろうに」 「お前とは違うんだよ。ヨシュアは真面目だし、それにゲイだろうが」 「あいつゲイだっけ」  でも、確か出会った頃のヨシュアは彼女を探してたんじゃなかったっけ、と太一は思うのだが。 「それで、なんでそんなの見てるんだよ。まさか女と浮気したくなったのか?」 「いや~そうじゃなくってさあ……俺、自分がゲイになっちまったのかなあ、ってちょっと気になってさ」  太一いわく、ブラッド家に来てから周囲に女がまったくいない。(たまにいるにはいるが、数百歳年上である)  毎日空手をやっていると男にばかり囲まれるが、男に欲情するわけでもない。 「ようするに、今でも女のハダカ見て欲情するかどうか確かめたかった、というわけか」 「そういうこと。もし俺がゲイなら、近寄ってくる男には注意しないとな、と思ってさ」 「んで、どうだったんだよ。女のエロビデオ見てちゃんと勃ったのか?」 「それがさあ……全然反応なしだ」  太一が情けない顔をして、がっくりうなだれる。  しかし隆二はある意味ホっとする。  太一は別に女が恋しくてAVを見ていたわけではなさそうだ。 「昔はこの女優で元気いっぱいになったのになあ。俺、やっぱり完全にゲイになっちまったんだろうか」 「そんなことどっちでもいいじゃねぇか。どうせもうヨシュアとしかヤらねぇんだし」 「隆二はどうなんだよ。これ見て、コーフンするか?」  どれどれ、と隆二もエロ動画を見てみるが、まったく興奮しない。  確かに昔はそのテのビデオを見て抜いてたもんだがなあ……と隆二も思う。  今改めて見ると、そんな女優よりジョゼの方がよっぽど色気がある、と隆二も思ってしまう。 「俺もダメだな。ジョゼの方がよっぽどいいわ」 「だよな。俺もヨシュアの方が絶対色気感じる」  どう考えても、そこいらの女優よりヨシュアやジョゼの方がきれいだからだろう、という話になった。    さて、こちらはヨシュア&ジョゼ。 「どうしよう……タイチが女の人と浮気しちゃったら」 「浮気しようにも、女なんてママかメリーぐらいしかここにはいないじゃないか」 「でも……これから先ずっとここにいるワケじゃないだろうし」 「まあ、それはそうだろうな」  何百年も生きていれば、いろんな国へ行って生活することもあるよな、とジョゼも思う。  今はまだ二人がヴァンパイアになりたてだから、ここで慣れるまでのんびりしようと思っているだけのことなのだ。 「そうだ! ヨシュア、いいこと思いついた。ヨシュアが女装してみろよ」 「ボクが? え~ヤだよっ」 「お前、昔から女の子みたいで可愛いってみんなに言われてたじゃないか。ヨシュアならイケるって!」 「女装してどうするの?」 「ヨシュアの女装が可愛ければ、タイチだって惚れ直すかもしれないだろ? 浮気されるよりいいじゃないか」 「うーん……ボクの女装なんて気持ち悪くないかなあ」 「試してみろよ! オレ、案外イケると思う」  ジョゼがあんまりすすめるので、ヨシュアも試してみようか、という気になってきた。 「女物の服なんてどうしよう。買いに行くの?」 「試すだけなら、誰かに借りるとか」 「誰かって……ママとか?」 「そうだよな……」  借りようにも知り合いの女はママとメリー(500歳)しかいないのだ。 「よし! 仮装大会でもやる、っていうことにして、ママに相談してみようぜ」  ヨシュアとジョゼはさっそくメリッサママのところを訪れてみる。  

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