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25 佑
「んだよ、てめぇら。邪魔しやがって。」
向けられた三人の目が怒りに歪んでいる。
漫画みてぇな展開、こんなこと現実で起きんだなぁ…なんてことをボンヤリと考える。
東矢も同じことを思ったのか「うわぁ、典型的…」と苦笑している。
「嫌がってるの無理やりとか、クソダッセェ。そんなに女に飢えてんならソープなりデリヘルなり呼べば?」
「佑、もっとオブラートに。」
「あ?包んでんだろうが。」
「包んでないよ、まんまだよ。」
「ふざけてんのか、てめぇら!!」
隣で突っ込みを入れてくる東矢の胸倉を男の一人が掴む。
「たんまたんま、ケンカはなし!だいたい嫌がってる女の子力付くで連れ回すとか、恥ずかしいっしょ!」
「お前バカか?煽ってどうすんだよ。」
「冷静に言ってないで助けて!」
「無理、そいつ任せた。」
「えぇぇぇ!?」
無理に決まってる。
目の前には怒り狂った酔っ払い二人。
ほんと、めんどくせぇ。
旅行くらいゆっくり楽しませろってんだ。
怒声と共に振り上げられた拳をかわしながら、今日何度目か分からないタメ息が溢れたー。
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