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優作の秘密

週終わりの金曜日。日直だった千晃は、少し早めに学校に着いた。 職員室で担任教師から日誌を受け取り、三年A組の教室へと入ると一番乗りだと思っていた教室には先客がいた。普段は埋まることのない、千晃の隣の座席が埋まっている。 「珍しい。優がこんな時間にいるなんて」  教室に一番乗りをしていたのは、珍しくも優作だった。  今日の天気予報は一日中晴れだと朝のお天気お姉さんが言っていたが、突然雷雨か豪雨でも降るんじゃないかってくらい彼が朝から居ることは珍しいことだった。 「だから?」 「だからって、いつも社長出勤でしょ。優がこんな時間に居るなんて、どういう風の吹き回し?」 優作が座るひとつ前の座席の椅子の背もたれに身を預けて、見下ろすように彼の様子を伺う。 遅刻の常習犯である優作がこんな誰も登校していない時間に来るくらいなのだから、何かあるに違いない。千晃が追及するように問い掛けると、優作はあからさまに視線を泳がせていた。 「うるさい……。早く来たい気分だったんだよ」  仄かに頬を赤らめて、照れたように顔を背けて頬杖をつく。優作がこんな表情をするのは大抵、篠塚関連であることは、粗 方予想がついていた。 詳しく訊きたいけど、それが優作にとっての浮かれ話であることは雰囲気からして感じとれる。千晃は訊きだす勇気が持てず、「そっか……」とだけ頷いて、大人しく自席についた。あまり多くを語りたがらない優作も自ら話題にすることもなく、沈黙が続く。 「そうだ、優。早く来たからって授業中寝るなよ」 微かに人の声がし始めた廊下を気にしながら問うと、言っているそばから優作が大きな欠伸をする。 「さあ、授業つまんないし、昼まで寝てようかな。どうせ真面目に受けなくてもどうにかなるから」 「うわっ。でたよ、優の秀才発言。遅刻と欠席ばっかで単位ヤバイくせに」 凡人の千晃に比べて、優作は頭もいいし、容姿端麗。真面目に出席していれば、クラスの人気ものでも可笑しくないのに、こう不真面目で一匹狼なのは彼の性格なのか……。はたまた生い立ちが関係しているのか……。

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