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「これからも変わらずに友達としてよろしく」
駄目だったらそれまで。優作が真剣に答えてくれたことならちゃんと受け止められる……。
「え……?」
千晃が右手を差し出した途端に優作は、目を見開いて驚いたように声を上げる。
やはり友達ですらなる資格はもうないのだろうか。
「やっぱり駄目だよなー……。告白してきた奴と友達なんて戻れないよな。変なこと言ってごめん。じゃあ……」
恋人としても友達としても受けることが出来ないと判決(ジャッジ)された心はこれ以上笑える気がしなかった。
自嘲した笑みを浮かべて、その場から立ち去ろうとしたとき、優作に腕を掴まれる。
「待てよ。まだ何も言ってない。俺は吉岡との関係を終わらせたくないと思ってる。でもお前は俺の事好きなんだろ?」
「好きだよ」
改めて言うのは、虚しいのにどういう意図で問うてくるのか。
「じゃあ、なんで友達としてなんて譲歩できるんだよ……」
不安に揺れる瞳から彼が自分の真意を知りたがっているのだと察した。告白しておいて肝心な自分の本心をちゃんと伝えていない。
「それは……。好きだけど、俺は優と恋人になりたいわけじゃない。俺の感情で今の関係が壊れるくらいなら、このままでいたいから」
胸元に拳を当てては、優作から逸らさずにそう告げる。
「でも、そんなの俺の二の舞を踏むことになるだろ?俺に好きな人ができたら隣で見ていることしかできない。そんな辛さ、俺がよく知っている」
優作が顔を歪めて問うてくる。そうか、想い合えない想い人の傍に居る辛さは彼が一番知っている。
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