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すぐさま國枝にエプロンを託して、駆けだすように教室を出る。ステージが終わったら連絡すると言っていたが、スマホを見ても彼からの連絡はきていない。ということは、まだ終わっていないのではないだろうか。 ならば体育館に行けば吉岡に会えるかもしれない。そうと分かれば、履き慣れない下駄をカタカタと鳴らしながら体育館へと急いだ。   メインステージがある体育館へと到着すると、入り口前には腕章を左腕に巻いた男女二人組が両サイドの扉の前に立っていた。外扉は全開であったが、内側から暗幕が貼られ、光を遮断しているので中の様子は外からでは分からない。  優作に気づいた二人組が、速やかに暗幕を捲ってきたので中に入ることにした。入口で来客用に備えてあったスリッパに履き替え、僅かにできた幕の隙間を屈みながら、中へと入る。 館内は真っ暗で、前方のステージでは元気で明るい女性が歌う音源に合わせながら、サイリウムを持つ男たちが機敏に踊っていた。男らしい野太い掛け声が響き渡る。 優作は観覧スペースにある椅子には座らず、体育館の入口付近の壁に寄りかかりながらじっと眺めていた。  遠くからではよく顔が見えないが、辻本らしき男が、センターで踊っていることから、これが吉岡の手伝っているというステージなのだろう。 ポップでいかにもアイドルの楽曲と言った乙女チックな歌詞のものを、吉岡がいつも聞いているのかと思うと笑ってしまう。 笑いを堪えるために右手のひらで口元を抑えながらステージを眺めていると、踊っている奴らが中央に集まってポーズをとったところで照明が落とされた。どうやらパフォーマンスが終わったらしい。  ステージ上の幕が下ろされてブザーが鳴ったところで、体育館内が明るくなった。 「これから十五分間の休憩に入ります」というアナウンスと共に、先ほどまで観覧していたお客達がぞろぞろと出入口に向かって歩いてくる。ステージが終わったのなら吉岡が出てくるかもしれない……。 優作は人の流れから、吉岡の姿を探した。時折背伸びをして茶色い短髪の男がいないかと見渡していると、眼鏡の飯田と髪の毛がブロッコリーのような辻本と共に此方に向かってきている吉岡を見つけた。

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