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十一 口封じは 3
「んぅ、う……んっ……」
ふぅ、ふぅと、ベルトの隙間から声が漏れる。唾液が止まらず、顔じゅうがべたべただった。ソファにも、シミが出来ている。
「もう大分、入るようになっちゃったんじゃない?」
ぐちゅぐちゅと、卑猥な音がする。内臓を抉られる感覚が、気持ちいいと覚えてしまった。既に幾つオモチャを挿入されたのか、何度イかされたのか覚えていない。
「う、んう……、む……」
いつの間にか足の拘束を解かれたというのに、岩崎は蹴ることも逃げることも出来ないまま、ただ足を開かされ、好き勝手にアナルを弄られている。
最初は怒っていた様子の鮎川だったが、だんだん表情が和らぎ、逆に楽しそうに岩崎を虐めている。
「こんな太いバイブも挿入できるようになっちゃったし……。お前もしかして、自分で弄ってた?」
「んぅ、う」
そんな訳ない。首を振る。
「ふぅん? 怪しいな……。そんなに簡単に、咥えられるもんじゃないと思うけど――フェラも得意だもんな。お前向いてるのかもな」
(なんでだ)
鮎川を睨むが、涙目で唾液まみれの顔では効果はなかった。
「こっちも、才能あんのかな」
そう言って、鮎川が箱から何かを取り出す。細い、棒のようなものだった。
「……?」
「コレ。こっちに、挿入るみたいだよ?」
鮎川がニマリと笑いながら岩崎の性器を握った。急に触れられ、びくんと身体が揺れる。同時に、どこに挿入するのか解って、ゾッとする。
「ん! ん!」
勢いよく首を振る岩崎に、鮎川が笑う。
(誰だ、そんなもんを置いていった奴……!)
アナルをさんざん弄られ、その上、ブジーだなんて。鮎川は本当にここにある道具全部を試すつもりなんだろうか。まだ一割も使っていない気がする。
ぞくり、背筋が粟立つ。
怖いばかりでない感覚に、自分で戸惑いながら鮎川を見上げた。
「……」
鮎川は岩崎をじっと見下ろし、やがてグイッと岩崎の頭を掴むと、急に口枷となっていたベルトを外した。
「ぷはっ、んっ……!」
「赤くなっちゃったな」
鮎川の指が、岩崎の唇に触れる。
「それ、ヤダっ……」
「ん?」
「ちんこに、入れるヤツ……」
「ああ」
鮎川は手にしていたブジーを、わざとらしく舐めて見せた。そのしぐさに、ゾクゾクする。
「ふ……はっ……、ん」
「嫌って、顔じゃねえな」
「っ……」
真っ赤な顔で、鮎川を睨む。潤んだ瞳で睨んだ岩崎の唇を、鮎川の指がなぞる。
「っ、ん……」
「あ、ゆ……、もぅ、ヤダ……、もうイけない……抜いて」
ぐずぐずと呟く岩崎に、鮎川は喉を鳴らした。
「……」
アナルに挿入されたままのバイブに手を伸ばす。岩崎の下半身はドロドロで、粘液に濡れていた。
「お願い、します……」
「……」
ずるり、予告なくバイブを引き抜かれ、快感にビクビクッっと肩を揺らす。
「あっ! あ、あっ!!」
ずっと挿入されっぱなしだったせいで、急に解放されて肉ヒダがひくひく震えた。
(助か、った……)
ようやく終わった。そう思い、肩の力を抜く。ホッとした岩崎の耳に、鮎川の意地悪な声が響く。
「これ、面白そうなもの見つけたんだけど」
「――っ!」
「ほら、スクリュー見たいになってる」
「やっ、やだ」
逃げようと、脚が空を切る。脚を開きっぱなしだったせいか、筋肉が痛む。腰を捩って逃げをうった岩崎を、鮎川が背後から抱きしめるように掴んだ。
「あっ、あ! ヤダ、挿れんな……!」
「……うるさい」
ぬぷっと、肉輪を押し拡げて質量が入り込んでくる。堅く、熱い。塊のようなものの感覚に、ゾクゾクと全身が震える。先ほどまでさんざん虐められ、もう嫌なのに、身体はたやすく受け入れる。
「あ、あっ、あ――っ……?」
息も絶え絶えに質量を受け入れながら、岩崎は違和感に動揺する。先ほどまでの、無機質な感覚でない、何かもっと生物的な生々しさに、頭が混乱した。腸壁を先端が擦る。ぬるぬるした亀頭が、中を擦る。暖かく、固く。ヌルヌルした感触。
(えっ)
ぞくり、胸がざわめく。背後から抱きしめられ、脚を開かされる。その間に、鮎川がいる。ぴたりと肉を押し付け、背中をあわせる。その身体が、熱い。
「あ、ゆ……」
「っ……」
耳元に聞こえる荒い声が。ずぷずぷと打ち付けられる腰の感覚が。背後から伸びた手が、腹を撫でる。
(――鮎川の、が)
鮎川の性器が、アナルに挿入されていた。突如背後から犯され、動揺して瞳をさ迷わせる。同時に、ドキドキして顔が熱くなる。
本当にそうなのかと、無意識につながった部分に指を伸ばす。ぐちぐちと深くつながった部分を指先に感じ、顔が熱くなった。
(え、何で、俺)
頭での理解が追い付かないままに、鮎川に犯される。やがて腰を打ち付ける速度が速くなり、パンパンと音が鳴り響く。同時に、互いの荒い息が室内に響いた。
「あっ、あ、あ、んっ……!」
激しく揺さぶられながら、鮎川が体制を入れ替える。ぐりんと身体をひっくり返され、今度は向かい合わせになった。前からぐりぐりと中を抉られ、声にならない悲鳴が上がる。
「っ――んっ!」
結んだ唇を、鮎川の舌がこじ開ける。
「んむっ」
鮎川の唇が、岩崎の唇を貪る。舌を吸われ、何度も角度を変え、上口蓋を舐められ、唇を噛まれた。
「んはっ、んっ……、んぁ、あっ、あ……!」
「っ、はっ……」
鮎川の息に、ドクンと心臓が鳴る。
(なんで、鮎川に、抱かれてんだ……俺)
切なげな表情で岩崎を求める鮎川に、ゾクゾクと胸が震えた。追いかけて来た相手である鮎川が、自分を求めている。その感覚に、愉悦のような優越感が沸き起こる。
「――」
やがて、激しく貫かれ、ビクビクッと身体が震える。
「あ、あっ――ああっ!!」
ビュクッと、もうイけないと思っていたのに、精液が吐き出され、腹の上にまき散らす。同時に、鮎川も岩崎の中で、大きく震えて粘液を吐き出した。
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