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二十九 怒ってる?
振動が、乳首を刺激する。先端を刺激されるもどかしさに、岩崎は腰を捻って悶えた。感じないと言った手前、弱みを見せるのが嫌で、ぎゅっと唇を噛んで感触に耐える。
「――、っ……」
呼吸が乱れる。思っていたよりも、刺激が強い。その上、鮎川が見ている。
「感じてないってわりに、余裕なさそうだな?」
つつ、と鮎川の指が腹を撫でる。もどかしい触れ方に、ゾクゾクと身体が震えた。
「ひぁっ……!」
とっさに唇を開いてしまい、甘い声が上がる。もう許して欲しくて、鮎川を見る。鮎川はニッコリと笑みを浮かべ、岩崎を見下ろした。
「あ、鮎……川」
「まさかギブアップとか言うなよ? 五分も経ってない」
鮎川の言葉に、ぐっと息を詰まらせる。乳首なんて、感じないと思っていたのに。そりゃあ、鮎川が吸ったり舐めたり、噛んだりする時も、変な感じになって、それが嫌なのに。
「くっ、ん……、ハァ、ん……」
息を切らせて、涙目で鮎川を見るが、鮎川の様子は変わらなかった。
「それ、一時間ぐらい連続稼働出来るから」
「っ……!」
(そんなの、無理っ……)
一時間なんて、頭がおかしくなってしまう。冗談じゃないと、歯を食いしばりながら鮎川を見る。
「……じょ、冗談、だろ? 鮎川……」
「さあ?」
「と、取って……、お願い……」
「なんで?」
言いながら、バイブが付いたままの敏感になった乳首を、鮎川の指がツンと刺激する。
「――っく!!」
とっさに身体をエビのように跳ねらせ、岩崎はソファの上で悶えた。足をもぞもぞと動かし、もどかしい欲求に身体を震わせる。
「あ、ゆかわぁ……」
甘い声で鳴く岩崎に、ピクリと鮎川の頬が緩む。
「どうした? ツラそうじゃん」
「っ、ここばっか、ヤだ……っ……、あゆ……」
「乳首しか弄ってねえのに、なんで勃ってんだよ」
ズボンの上からぐっと股間を握る鮎川に、ビクッと大きく身体をしならせる。そのままぐりぐりと刺激され、岩崎は切れ切れに喘ぎ声を上げた。
「あっ、あ、あっ……」
鮎川がパッと手を放す。急に刺激を止められ、岩崎は不満げに顔を顰める。
「ぅ、うっ……お、怒って、んの……?」
「なんで?」
ニッコリと問い返され、岩崎はぐっと唇を結んだ。怒ってる。
(怒ってる、じゃん……)
「ご、ごめん……、鮎、川……」
「んー?」
「ごめん、って……。おね、がいっ……」
ハァハァと、息が上がる。下着の中で性器が膨らんで辛い。触ってもらえないことが、余計に辛かった。いつもなら、あの手で愛撫してくれるのに。
「……で、どうすんの?」
「ど、うする……?」
鮎川の指が、きゅっと乳首を摘まむ。
「いあっ!」
「こんな、敏感で感じやすいのに、無防備にしてんの?」
「っ、し、しないっ……しない、からっ……」
何を言わされているのかよくわからなかったが、ようやく解放してくれそうな気配に、岩崎は必死でそう口にする。すると、鮎川はようやく岩崎の乳首からバイブを外してくれた。まだジンジンと、痺れたような疼きがある。
「じゃあ、寮の中でタンクトップでウロウロすんなよ」
「わ、わかった……」
ホッと息を吐き、ぐったりと身体をソファに預ける。
「あ……、なあ、手錠……」
「そのまま」
「え」
鮎川の手が、岩崎の膝に伸びる。するりと脚をなでられ、ビクリと震えた。下着ごとハーフパンツをおろされ、下半身を剥き出しにされる。
「こっち、欲しいだろ?」
「……ま、まあ……」
当然のように足を開かれ、そのまま貫かれる。一瞬息がつまって、「ぅ」と小さく呻いた。
「ん、は……っ、あゆ、川……」
求めるように名前を呼んだ岩崎に、鮎川は答えるように唇を塞いだ。
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