14 / 174

梅月遊について①

*** 「な、な、なんなによアイツなんなのよ!!生意気ぃぃ――っっ!!」 このアタシが、公衆の面前でこんな恥かかせられるなんて!大体アタシの手振り払うとかアイツ何様!?自称だけど一応アタシは写楽の彼女よ!?アイツより立場絶対上よ!? 「はっははは、ざまーねぇなクソ女」 怒り狂うアタシを笑う声がして、きっと後ろを見たら赤髪のクソモヒカンが立っていた 「ちょっとクソモヒカン!!見てたんならアイツを捕まえなさいよ!!」 ほんとに無能な奴ね!! 「嫌だよ。写楽さんにアイツいじめたら殺すって言われただろうが。お前死刑決定だな」 「誰もいじめてなんかないじゃないの!むしろアタシのほうがイジメられたわよ!」 「おっまえ、それ本気で言ってんならマジで恐ぇ~っ!痴漢冤罪みてぇじゃねぇか」 ああもう、どいつもこいつもいちいちカンに障る!そりゃあちょっと変態って罵ったけど、それは本当のことじゃないのよ! 「なぁお前ら、4組の犬神写楽の仲間だよな?」 アタシとクソモヒカンに、3組のダサイ男子が話しかけてきた。確かに同じクラスだけど、仲間ってひとくくりにしてんじゃないわよ、こんな奴仲間でもなんでもないし。ていうかアタシ、写楽の彼女なだけだし! 「そうっ!このクソ女はちげーけど俺は写楽さんの仲間!」 「誰がクソ女よクソモヒカン!!」 「や、別になんでもいいんだけど。さっきの話ってマジなの?ウメボシが犬神のペットに志願したとかいうやつ……」 は?ウメボシって何よ?つーかこいつなれなれしいわね。 「あ、俺は伊藤。ウメボシってのはうちのクラスでの梅月のあだ名な。でももう呼ばない方がいいかな……昼休みも犬神に睨まれたし……別にイジメで呼んでるわけじゃないんだけどさあ」 アタシの名字が梅月だったら、そんなあだ名で呼ばれたらぶん殴るけど。 「マジだよ大マジ!俺らも戸惑ってんだよ、いきなり写楽さんにこいつは俺のペットだって言われてさぁ」 「へ~、なんか犬神とウメボシに接点とかあったっけ?」 「ないない!ないと思う!少なくとも俺らは誰も知らねえし」 よくもまぁペラペラと……こいつこそ処刑決定なんじゃないの?そしてアタシは、伊藤に対してずいっと身を乗り出した。 「ちょっとアンタ」 「え?」 「梅月遊のこと詳しく教えなさいよ。なんなのアイツ。変人って言われてたけど変人なの?」 「あー、アイツはなぁ……」 本当は女子からアイツのことを聞きまわろうと思ってたけど、アイツ多分女子とはほとんど関わってなさそうだからやめた。 アタシの手を簡単に振り払うし、つーかホモだったわね。だからアタシはちょっとアイツに興味を持ってるらしい、この伊藤とかいう奴から色々聞きだすことにした。

ともだちにシェアしよう!