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梅月遊について①
***
「な、な、なんなによアイツなんなのよ!!生意気ぃぃ――っっ!!」
このアタシが、公衆の面前でこんな恥かかせられるなんて!大体アタシの手振り払うとかアイツ何様!?自称だけど一応アタシは写楽の彼女よ!?アイツより立場絶対上よ!?
「はっははは、ざまーねぇなクソ女」
怒り狂うアタシを笑う声がして、きっと後ろを見たら赤髪のクソモヒカンが立っていた
「ちょっとクソモヒカン!!見てたんならアイツを捕まえなさいよ!!」
ほんとに無能な奴ね!!
「嫌だよ。写楽さんにアイツいじめたら殺すって言われただろうが。お前死刑決定だな」
「誰もいじめてなんかないじゃないの!むしろアタシのほうがイジメられたわよ!」
「おっまえ、それ本気で言ってんならマジで恐ぇ~っ!痴漢冤罪みてぇじゃねぇか」
ああもう、どいつもこいつもいちいちカンに障る!そりゃあちょっと変態って罵ったけど、それは本当のことじゃないのよ!
「なぁお前ら、4組の犬神写楽の仲間だよな?」
アタシとクソモヒカンに、3組のダサイ男子が話しかけてきた。確かに同じクラスだけど、仲間ってひとくくりにしてんじゃないわよ、こんな奴仲間でもなんでもないし。ていうかアタシ、写楽の彼女なだけだし!
「そうっ!このクソ女はちげーけど俺は写楽さんの仲間!」
「誰がクソ女よクソモヒカン!!」
「や、別になんでもいいんだけど。さっきの話ってマジなの?ウメボシが犬神のペットに志願したとかいうやつ……」
は?ウメボシって何よ?つーかこいつなれなれしいわね。
「あ、俺は伊藤。ウメボシってのはうちのクラスでの梅月のあだ名な。でももう呼ばない方がいいかな……昼休みも犬神に睨まれたし……別にイジメで呼んでるわけじゃないんだけどさあ」
アタシの名字が梅月だったら、そんなあだ名で呼ばれたらぶん殴るけど。
「マジだよ大マジ!俺らも戸惑ってんだよ、いきなり写楽さんにこいつは俺のペットだって言われてさぁ」
「へ~、なんか犬神とウメボシに接点とかあったっけ?」
「ないない!ないと思う!少なくとも俺らは誰も知らねえし」
よくもまぁペラペラと……こいつこそ処刑決定なんじゃないの?そしてアタシは、伊藤に対してずいっと身を乗り出した。
「ちょっとアンタ」
「え?」
「梅月遊のこと詳しく教えなさいよ。なんなのアイツ。変人って言われてたけど変人なの?」
「あー、アイツはなぁ……」
本当は女子からアイツのことを聞きまわろうと思ってたけど、アイツ多分女子とはほとんど関わってなさそうだからやめた。
アタシの手を簡単に振り払うし、つーかホモだったわね。だからアタシはちょっとアイツに興味を持ってるらしい、この伊藤とかいう奴から色々聞きだすことにした。
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