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好きって何?
「なぁ、なんとか言えよ」
意地悪っぽく囁きながら、俺はピン、と遊の勃起したチンポを突っつく。遊は「ンッ」と色っぽく喘ぎながらまた涙目になった。それでも、俺のシャツを握りしめている手を緩める気配はない。
「好きな人に抱きしめられてキスされたら、誰だってこうなるよ……」
「ハハっ」
「それより……」
ん?
「写楽だってまた、勃起してるよ……?」
遊は、俺の下半身に手を伸ばしてズボンの上から勝手に触っていた。
「……ッ」
この野郎、ペットの癖にご主人様のイチモツに気易く触るなよ……あ、でも気持ちいい。
「ねぇ、もっかい舐めてもいい……?」
遊はうっとりとした目で そう言うと、再び俺の足もとに跪いた。そして俺が返事をする前に器用にベルトを外していく。
この、淫乱ペットめ。
「……いいぜ、好きなだけしゃぶれよ」
『好きな人に抱きしめられてキスされたら誰だって勃起する』
遊はさっきそう言った。それなら俺も遊が好きだってことになる。でも、それはなんか違うと思った。
俺がこいつにキスしたくなったり勃起したりするのは、単にコイツがエロすぎて自然にそうなっただけなのだ。
大体「好き」ってなんだよ。
確かに俺はこいつを気に入ってて、ずっと俺のそばに居てほしいと思ってる。
でも、それが俺がこいつに抱いてる感情のすべてだ。
それが「好き」という気持ちなら……
「ンッ、じゅぽ、じゅぽ……ちゅぷ……」
とても不純で暴力的な感情だと思った。
「ん……もう出すぞ」
「ンッ」
本日二回目の射精。俺は今度はなんのためらいもなく、遊の口内に出した。
遊も同じく喉を鳴らしてそれを飲み干した。
そして、俺はまた後ろから遊を抱きしめて、さっきと同じように遊の射精も促す。
「はぁ、は、ああん、写楽、写楽ッ……」
そうしている内に、一限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。とりあえず遊を解放して、俺達は後片付けもろくにせず教室に戻ることにした。そろそろ外は暑くなってきたし、長くいるにはきついしな。
屋上へ続く階段の踊り場で、遊が俺に話しかけた
「あの、写楽、……」
「次は昼休みな。俺の分の弁当も作ってきてるんだろ」
「!うん」
遊は俺の言葉にさっきのエロい顔とは打って変わって、すごく嬉しそうな顔をした。いや、さっきも嬉しそうといえば嬉しそうな顔してたんだけど……別の意味で。
「遊、一つ聞いていいか」
「なに?」
まだ嬉しそうな顔で俺の顔を見る、遊。
「お前、男相手にああいうことすんの、初めてじゃねぇだろ」
「……えっ?」
遊の表情が、一瞬で変わった。
それは、こいつが俺のチンポを平気で咥えた辺りから思っていた疑問だった。いくら好きだからって、いきなり男のイチモツ咥えられるかよ。
つまりコイツには、そういうコトをする相手が俺以前にも――現在は居ないと思うけど――いたってコトだろう。
別に俺だって童貞じゃないから、遊に昔そんな相手がいたことを咎めるような気持ちは無い。意外すぎるけどな。
すると突然遊がぴたり、と足を止めた。
「……うん。ずっと昔にね、色々あって。ごめんね?僕があまりにも簡単にシちゃったから、やっぱり気持ち悪いって思われちゃったかな」
ずっと昔?……こいつは俺と同じ17歳だよな?どんだけ昔のことを指してるんだよ。つーかやれって言ったのは俺だし、別に気持ち悪いとか思ってないんだけど。
「でも……アレを咥えたのは、本当に写楽が初めてだから」
遊はそう言って、少し淋しそうに笑った。その目はもう、俺を映してはいない。
「おい、遊……」
「きみのことが好きなのも、本当だから。それは信じてほしい」
「遊!」
俺の顔を見ずに、階段を駆け下りていこうとする遊の腕を俺は慌てて掴んだ。
「お前、何いきなり逃げてんだ……」
そう言いかけた俺の言葉は、遊の言葉に消された。
「勘違いとかしないから。キスとかされても僕は君のペットで、こ、恋人にしてほしいとか、付き合って欲しいなんて絶対に言わないから安心して?」
そう言って、遊は俺の腕を振り切ると走って階段を駆け下りて行った。俺は何故か遊の言葉に衝撃を受けていて、しばらくその場から動けなかった。
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