24 / 174

クソモヒカンの憂鬱

*** あっ、どうも俺は宮田です!え、お前は一体誰だって?ひでぇ!んーと、赤髪のクソモヒカンって言えばわかりますか?なんで俺の名前はクソモヒカンなんだ……。 写楽さんがそう呼んでんだけど、つーか俺にこういう髪型にしろっつったのは紛れもなく写楽さんなんだけどなぁ。まあ今は俺もこの髪型気に入ってるからいいんだけど! どれだけけなされようと、どれだけバカにされようと、唯一無二!唯我独尊!……あれ、なんか違う?まあとにかく個性は大事だってことだよ。 ちなみに俺の本名は宮田徹(みやたとおる)です!とーるくんって、呼んでくれよな!まぁ誰も呼んでくれないってことはわかってんだけど、いいよもうクソモヒカンで。 はぁ~……つーかそんなことはどうでもいいんだって。ついテンパッちまって自己紹介なんてしてみたけど、正直落ち着いたところで全然落ち着かねぇし。 とんでもねぇ現場を目撃してしまった俺の頭の中は、さっきからずーっとパニックに陥ったまんまなんだよ! その光景とは……………屋上で!なんと、写楽さんが!!昨日からペットにしたという(なんかこの単語だけでエロい)遊ちゃんにフェラさせて、マジでエロ玩具のように扱ってる現場だったんだYO!!! これがほんとのオナペットというものなのか!?何を言ってるんだ俺は? ついてくんなよって言われたのに、写楽さんのことが心配でコッソリ付いていった俺は今、死ぬほど後悔しているのであります。つーかヤバイのは写楽さんじゃなくて、むしろペットの遊ちゃん、いや遊ちゃんなんて可愛く呼んでいいんだろうか。梅月遊という、人畜無害そうなツラをした奴の方だと思った。 写楽さんのチンコ舐めろ、みたいな命令に嫌がるどころか『舐めてもいいの?』、 『もういっかい舐めてもいい?』って…… オイオイオイオイオ――イ!!!!! あまりのエロさに俺は聞いていただけで軽くイッてしまったぞう……誰が早漏だコラァ!!! なんつーか、さすが自分から写楽さんのペット志願しただけのことはあるというか……マジでエロい。顔も声も行動も、とにかくエロすぎる。 写楽さんのザーメンも美味しそうにごっくんしてたし、マジで風俗嬢も真っ青だよ!! 何者なんだ?梅月遊。変人なのか、変態なのか、両方か!?写楽さんも負けじとエロかったけど。 なんか後ろからアイツを抱きしめて、手コキみたいなことしてて、それに反応するアイツの声がこれまたエロくてヤバかった……思い出しただけでまた勃ってきたし……あ――!!! と、とにかくだ!あのふたりは付き合ってんのか!?倉橋はまじでフェイク彼女だったのか……哀れだな。写楽さん、男もイケるとか意外すぎるし! そんなことなら俺、ペットじゃなくて彼氏に志願すりゃよかったッ!!……なーんて、いやいや、冗談だよ、冗談……俺は女の子が好きだからね!! でも、男でも遊ちゃんなら抱ける気がする……つーか俺もチンコ舐めてもらいてぇ……とか思ったりして……あああああ!!!何考えてんだ、俺はぁぁっ!! ちなみに俺は、さっきまで屋上の死角にいたけど今は階段の死角にいる。二人が屋上から中に入ろうとしてきたから慌てて先に入って、一気に階段を駆け降りたんだ。 そしたらなんか少し揉めるような声がして、遊ちゃんが一人で、泣きそうな顔して降りてきたんだ。俺の存在には気付かなかったみたいだけど、なんかあったのかな?あったといえばありまくったんだろうけど……その、アレの他にな!! ちらりと階段のほうを窺うと、ボーッと立ち尽くしている写楽さんがいた。 「……………」 写楽さんのあんな顔、俺は初めて見た……。 俺は一年の時から写楽さんに憧れていた。でもはじめっからじゃない、最初に写楽さんを見たときの印象はデカくて地味で小綺麗で、いけすかないヤローだと思ったんだ。 いわゆるお坊っちゃま臭っつーの?それがトコトン気に入らなかった。実際に写楽さんはお坊っちゃまだから、どんなにふてぶてしい態度をとっていても隠しきれない育ちの良さが出るんだよな。それは今も変わらない。 誰ともつるまずにいつも飄々としていて、一年なのに、つっかかってくる上級生をものともせずにぶん殴り、その屍を見ながら堂々とたばこを吸ったりしてた。 身なりは地味だけど、立派な『不良』だ。 実は俺も、写楽さんにケンカを売って負かされたクチだ。というか舎弟の大半はそうだ。 写楽さんは、楽しそうな顔はしないし、悲しそうな顔もしない。イラついた顔はよくする。きっと毎日が退屈なんだと思う。 いつも何かに飢えているような感じ、それが何かは俺にはわからない。ただ、それが女でも金でもないことは確かだ。写楽さんは、そんなもんには執着しないからな。(元々金持ちだし、モテるから) ――とにかく。 昨日からの写楽さんの、遊ちゃんに対する態度はまるで執着しているような感じで……そんな写楽さんを、俺は今の今まで見たことがなくて。 俺はもしかすると遊ちゃんは3年の罠かなんかで(以前にもハニートラップはあった)写楽さんは騙されてるんじゃないのかって思ってた。遊ちゃんは小動物みたいで可愛いし。 写楽さん、なんとなく小動物に弱そうだしな……。 つーかいくら相手が男でも、あんな色っぽい顔と声で迫られて(?)オチない男なんていねぇよ……!だからついてくんなって言われても、俺は写楽さんが心配でこうして授業をサボって見にきたわけだけど……。 あああああッ!!まじで着いてくるんじゃなかった――ッ!! しばらくエロ本じゃ絶対抜けねぇ……どうしてくれんだよ、遊ちゃん!これからは顔もまともに見れねぇかもしんねーよ!マトモにしゃべったこともねーけど! 写楽さんは遊ちゃんをずっと抱き締めてた。ペットとかなんとか言ってるけど、好き……なんだよな?じゃなきゃ男に手コキとかキスとかできねぇよな、うん。 うん……ああ、思い出したらまたチンコが反応してきたよ!!ほんとに同じ高校生なのかよ、あの二人! 写楽さんは不思議な人だけど、遊ちゃんは更にもっと不思議だ。二人はなんだか似てるような気がする……姿形じゃなくて、空気が。 俺とは分かり合えないことが、あの二人は分かり合えてるんだろうか。だから写楽さんは、遊ちゃんをペットにしたんだろうか。 色々と衝撃的だったけど、それでも俺が舎弟として写楽さんをソンケーしてることに変わりねぇから、俺はこっそりと二人を応援しようと思う。ときどきオナネタにさせてもらいながらな……! さて、全力でトイレに駆け込むぜ!!

ともだちにシェアしよう!