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遊の素顔

「あ、戻ってきた。二人で一体なんの話してたんですか?」 病室に戻ると、遊は病院食を食べていた。改めて見ると、包帯をぐるぐると巻かれた頭が痛々しい。 「いつも遊がお世話になってますって話よ」 「ふうーん……それなら別にここでしても良かったんじゃ?」 「他にも色々あるの!」 「その色々が気になるんだけど……」 梅月先生と話している遊の顔は、俺の前で見せる表情よりも幾分か子供っぽいと思った。こうして見ても、普通に親子にしか見えないんだけどな。 5分ほど立ち話しをして、俺は言った。 「じゃあ俺、そろそろ行きます。一応、今日学校あるんで」 今日はもう行く気ねぇけど。帰って寝る。 「あ、写楽!」 「あ?」 「その……昨日は本当に有難う。色々迷惑かけてごめんね」 「別に迷惑じゃねぇし。その、俺も……」 お前に謝ろうと思って、わざわざ会いに行ったんだし。そう言いたかったけど、梅月先生がいるから言えなかった。結局、謝れてもいないし……。 「……?」 「あら、もしかして私お邪魔虫かしら?」 「いえ、そんなことないです。……じゃあ遊、また月曜な」 「うん、またお弁当作ってくね!」 「おう。……頭、大事にしろよ」 少しぶっきらぼうに言って、俺は病室を出た。ナースステーションの前を通った時に、看護師が数人ニヤニヤしながら俺を見ていたが、気付かない振りをして通りすぎた。

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