37 / 174

3年のボス

* 週明け、俺は珍しくマジメに朝から学校へ来ていた。月曜日は面倒くさくて、2限目くらいに行くのが俺の中で当たり前になってるんだけど。 結局金曜は学校へは行かず、家でダラダラと……する予定だったが、シズネにガキどもの面倒を押し付けられたから結局忙しかった。学校に行った方が楽だったな。  土日も、同じように過ごした。 遊の見舞いがてら梅月園に行ってみようかと思ったけど、『また月曜』なんて言ってしまった手前、なんとなく会いに行くのは気が引けた。 遊の頭のケガは、ちょっとはマシになっただろうか。 「おい、犬神!!」 校舎に入る直前、いきなり不躾に名前を呼ばれた。ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには3年の不良のボス、中山がいた。 「……ンだよ、中山ァ」 朝からクソうざい3年のツラなんか誰も見たくねぇっつーの。 「先輩を付けろよ!もしくはさん!年下の癖に生意気だぞッ!」 「じゃあお前も後輩にはクンを付けろよ」 「い、犬神くん?」 「キモッ」 マジで言うのかよ、素直か。 言わせるだけ言わせて、俺は無視して校舎に入ろうとした。 「ちょっ、待ちやがれ犬神!!」 「なんだようるせぇな……」 肩を掴まれて無理矢理後ろを向かされたので、その拍子に思いっきり睨んでやった。俺の睨みに中山はうっと怯んだが、奴は負けじと言葉を続けた。 「て、てめぇ最近ペットとか言って、男を(はべ)らしているらしいな!」 「あ?」 確かにペットはペットだが、侍らすって……思考回路までキメェなこの野郎。 「とうとうソッチの趣味に走ったのか?犬神くんよォ」 ソッチってどっちだよ。相手すんのマジで面倒臭いんだけど。 「で?何の用なんだよ」 「噂の真偽を確かめたかっただけだよ。つうか否定しねェってことはマジなのか?」 「てめぇがあまりにもバカなこと言ってっから言葉が出ねぇだけだ。馬鹿はいっぺん死んどけよ」 「ああ!?」 最近は3年とは休戦中で、特に派手なケンカをすることもなかったけど。 「戦争してぇなら受けて立つぞ。ムカつく3年全員、まとめてまたボコってやるよ」 4月頭に俺にボコボコにされたことを思い出したのか、中山は怯んで2、3歩後退した。 「ふ……っフン!とりあえず生意気な言動は許してやらぁ、俺は心が広いからな!!」 「はぁ?」 よく分からない捨て台詞を吐いて、中山は俺を追い越して校舎に入って行った。結局何がしたかったんだ、あの野郎……。

ともだちにシェアしよう!