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勝手なことは分かっているけど

 俺たちは裸のままでベッドに転がっているけど、それももう見慣れた光景だ。  遊との……男同士のセックスは慣らしたりするのが少し面倒だけど、してるときの遊の反応は可愛いしエロいから見てて愉しい。  『写楽のが欲しいよ』『もういれて』と涙と涎をたらしながら懇願する姿なんか、目眩がしそうなくらいに淫乱だ。  特にアソコの締まりなんかは女とは全然比べもんにならないくらいヨクて、俺は馬鹿みたいに病み付きになっている。それくらい、遊の身体はキモチイイ。  けどそれでますます、いつ、どんな奴に開発されたのか気になってしまうけど……。  遊は相変わらず突然キスしたら赤面するけど、前よりは慣れたみたいでアタフタすることはなくなった。その変化が嬉しいような、少し寂しいような……やっぱり俺は勝手だ、その自覚はある。 「やっぱり大学行かない代わりに何か技術を身につけるべきかなって思ってて、できれば住み込みで、何か学ばせてもらえるようなトコ探そうかな、って思ってる。写楽は?」 「俺はとりあえず進学だな。その先のコトは考えてねぇ」  一生プータローでいたって、多分親父は何も言わないだろう。 「そっかぁ」  遊はふわふわしている癖に、妙に現実的だ。コネもなにも持ってないくせに、そんな都合のいい場所がこの街で簡単に見つかると思ってるんだろうか。  でもま、簡単に見つかるんだな、コレが……ただしコイツの場合だけ。それが『コネ』ってやつだ。 「あのさ……遊、それならこのままうちに住めよ。卒業したら住み込みの使用人ってことにしてやるから。技術が欲しいんなら、うちには板前だって庭師だっているから頼めば弟子にだってなれるし、お前一人を正社員として雇うくらい俺がオヤジに頼めば簡単なんだよ」 「えっ?」 「まだ何も決まってねぇんなら、そうしろよ」  俺の提案は、多分遊には全く現実味がないだろう。都合の良すぎる話だと思うだろう。けど、俺には簡単に実現できることだ。 「それが嫌なら俺がツテ探してやるから、勝手にどっか行くんじゃねぇぞ」  結局のところ、それが本音だ。 「どうして?」 「あ?お前、俺のペットなんだから当然だろ」 「……………」   遊が何を言いたかったのか、言わなくてもわかった。遊は、疑問もすぐに顔に出るから。 『いつまで?』 『いつまで、僕は君のペットなの?』  俺はその疑問には答えず、遊の頭を自分の胸に当てて抱きしめた。  いつまででも、お前は俺のペットだよ。卒業しても、『ずっと』だ。  お前の欲しいものは、なんだって俺が与えてやるよ。どうやってお前を繋ぎ止めておけるのか、他の方法は俺にはわかんねぇから。 『遊は、ひとりになりたがってるの』  いつか聞いた、梅月先生の言葉。遊は何らかのタイミングで、勝手に俺の前から消えるだろうと確信している。 けど、絶対そうはさせない。 「お前はずっと、俺に世話されてりゃいいんだよ。殺して欲しいんだろ?俺に」  絶対に、逃がさない。

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