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天使の正体
さぁ、3年4組の連中に俺の天使の初御披露目だ!!この可愛さの前にひれ伏せ!!特に溝内と舞!!
「……………」
なんでテメーらポカーンとしてんだよ!?奴らの中で唯一反応したのは、舞だった。
「……コイツ男じゃん。どっから見ても男じゃん。まぁ男にしちゃ可愛い顔はしてるけどそれでも男じゃん。何、なかやん女にモテなさすぎてついに男に走ったわけ?」
「うるせぇな!男だけど可愛いだろうがユウちゃんは!!少なくともてめーみたいに辛辣なことは言わねぇぞ!なんたって俺を助けてくれた天使だからな!!」
くっそー、舞のやつ!ユウちゃんを見た瞬間に男男ってうるせぇな!男でも可愛いだろうが!!さっさとこの可愛さの前にひれ伏せよ!
俺が3年だってことが分かってユウちゃんは少し青ざめてるけど、別に関係ねぇよな!
「……おい……おい、中山クン」
「なんだよ、溝内」
「お前、わざとやってるんじゃないよな?」
「はぁ!?何がだよっ!」
この俺がジョーダンでわざわざ大嫌いな2年の群れから男を連れてきて可愛いとか言うかよ!!そんなのただの頭オカシイヤローじゃねぇかッ!!それよりもユウちゃんの可愛さをとくと見やがれ!!
「あ、あの!久志くん……」
「なーに、ユウちゃんっ」
「3年生だとは知らずにタメ口聞いてすみませんでした。あと、名前呼びとか……」
身体を90度に曲げて大袈裟に俺に謝るユウちゃん。そんな謝ることじゃねーのになぁ、だって俺がそーさせたんだし!なんたって恩人だし?それにこれからは恋人になってほしい……なーんてなっ!
「そんなのかまわねえって。それよりユウちゃん、これから毎日俺と一緒に昼ごはん食べよ?あと、今日から一緒に帰ろ?」
「え?」
「な、いいだろ。俺ユウちゃんのことが気に入ったんだよ」
混乱した顔で俺を見ているユウちゃん。どんな顔しても可愛いって罪だな、罪。さすが俺の天使!
「お、おい中山くん、それくらいにしてユウちゃんを元の場所に帰してきなさい……!」
「はぁ!?何言ってんだてめー、てかユウちゃんをペットみたいな扱いすんなし」
「ペッ……、お前やっぱり知ってんだろ!?」
「はぁ!?何をだよっ」
さっきから溝内のやつうるせーな!ていうかこいつユウちゃんのこと知ってたのか?
なんか、そんな態度だ。
すると、溝内が突然強い口調で言った。
「お前なぁ、こいつ結構有名だぞッ!!何で3年のボスのくせに知らねぇんだよ!いいか、こいつはな……!!」
「俺のユウちゃんをコイツコイツって連呼すんなや!!」
有名ってユウちゃんが!?あ、わかった可愛すぎて有名なんだろ!それなら俺も納得するぜ、はっはっはー!!
「真面目に聞け中山クン!コイツはな、あの犬神写楽の」
「……は?犬神?」
なんで今ソイツの名前が出てくるんだコラァ!!
「……そいつ、俺のペットなんでさっさと返してもらえませんかね、中山パイセン」
「は……?」
ドアの方から俺の大嫌いな声がして、そっちの方を見てみれば何故かにっくき犬神写楽本人が立っていた。
「はあぁぁ!?い、犬神!?てめー何3年の教室に来てんだコラぁぁぁぁ!!わかった自分から殴られに来たんだろ今すぐ殴ってやるァァァ」
「写楽!」
「え、しゃら……く?」
今のは、俺の天使の声だよな?なんで、犬神を呼び捨て……に……?
ユウちゃんは、俺の時以上に花をそこらじゅうにまき散らし、小走りで犬神のほうへと向かっていった。
「あッ!」
「馬鹿、お前どんくせーんだから走るな」
「ご、ごめん」
駆け寄ったユウちゃんがずっこけて、それを前に出た犬神が抱きとめた。ユウちゃんは顔を真っ赤にしてるし、抱き合っているようにしか見えない光景だ……。
「お、俺の天使から離れろこの野郎!!!」
「俺の天使ィ?何言ってんだ。こいつは俺のペットだ」
「ぺッ……ぺぺぺぺ、ぺ!?」
「中山クン、ットが言えてない、ットが」
何言ってんだと突っ込みたいのは俺の方だコラぁぁぁ!!俺に突っ込んでんじゃねぇ溝内!!だってユウちゃんが犬神のぺ、ぺぺぺぺぺ、
ペットぉぉぉぉ!?
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