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クソモヒカンの考察

*** 「斎藤お前なぁ、プレイとか本人達の前で言うなよ!マジで写楽さんの目が恐かったし!また寿命が縮んだし!俺の10年分の寿命を返せよ!!」  写楽さんが遊ちゃんと帰るのを窓から確認したあと、俺はさっきとんでもないことを言い放った斎藤に怒鳴った。  だってそうだろ、二人は本気で飼い主とペットをしていて、家ではご主人様と性奴隷でドロドロなセックスを(予想)……あれ?プレイなのは間違ってない?  と、とにかく他人が踏み込んだらいけない領域なんだよ!! 「うるせーなクソモヒカン、お前から寿命10年取ってもあと110年は生きるから別にいいだろーが」 「マジ!?俺120歳まで生きる予定だったの!?いくらなんでも長すぎねぇ!?」 「いや、お前ならイケんだろ」  マジか!!俺すげぇ!!……って誤魔化されねーよ!?何気にクソモヒカンって言われてるし!それは写楽さんにだけ許された俺のあだ名だぞ!! 「まあ、とどのつまり付き合ってんだろ?写楽さんと遊ちゃんは」 「え?」 「そんなの、見てりゃ分かるし」  うんうんと斎藤に同意する、金田と野村。マジかよ!!あの二人の関係を知ってるのは俺だけだと思ってたのに!!  まぁ、写楽さんも最近結構あからさまだもんな……テンプレ通りのツンデレというか……。  でも、校内で激しくイチャつく二人を見たのは俺だけだろうと思う。あの屋上の日以来、学校ではエロいことしてないみたいだしな。でも、本当に付き合っているのかな? 「どう見ても付き合ってるよな、あの二人」 「遊ちゃんは毎日手作り弁当作ってきてるし、放課後は一緒に帰るし」 「写楽さん、ナチュラルにボディタッチしまくりだし」 「遊ちゃんもナチュラルに甘えまくりだし」 「正直ちょっと目のやり場に困るよな」 「ああ、遊ちゃんのキスマークとかな」 「エッロいよなぁ、あれ!!」  困るとか言って、お前らも萌えてるじゃねぇかっ!!ニヤニヤして話してるのがその証拠だッ!!でもキスマークは確かに萌える!  こいつらの言うとおり、二人は俺らから見ても付き合ってるようにしか見えない。でも、二人の間でそういう約束は交わされているんだろうか。気になるのは、さっきの遊ちゃんの言葉だ…… 『僕は、誰とも恋人になんかならないよ』  遊ちゃんは誰とも、と言った。それは写楽さんも含めてのことなんだろう。もし二人が本当に付き合っていたのだとしたら、遊ちゃんはそんなこと言わないだろう。恥ずかしさから出た言葉にも聞こえなかったし、そもそも遊ちゃんは嘘をつける性格じゃない(と思う)。  あんなに周囲に丸分かりで二人は好き合ってるのに、付き合わないのはなんでだろう?と部外者の俺はひどく不思議に思ってしまう。それほど飼い主とペットの関係を壊したくないんだろうか……(どんだけSとM!?)  でも、恋人になってから続けたらいいだけの話だろ?プレイだとしても……そういうのが趣味なカップルってこの世にはたくさんいるよな!いやっ、俺自身がそういうのしたいわけではないです!!決して!!  余計なお世話なのは重々承知しているが、俺は写楽さんが……いや、今は遊ちゃんのことも可愛くてふたりのことが大好きだ。男同士で色々面倒な問題もあるだろうけど、できたら幸せになってもらいたい、と思っている。  もう幸せだったらホントに余計なお世話なんだけどな!……でも、遊ちゃんの言葉が俺にそう信じさせないから俺が勝手に不安になってるんだ。 「遊ちゃんに迫られたら俺もヤっちまうかも……つかヤりたい」 「あーわかる。なんか最近特に雰囲気エロいよな。地味なのに」 「なんか、頼んだらなんでもしてくれそうだよな……させてくれそうっていうか」 「なんたってペットだしな……」 「写楽さんのだけど……」  気付いたら俺達は全員、その場で前屈みになっていたのだった。

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