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きみしかいない

 そして写楽は、僕の口の中でイッた。 「んむっ……!」  僕は何のためらいもなく、吐きだされたモノを綺麗に飲み干した。残滓も残さないようにヂュウッと吸うと、写楽の腰がブルッと震えた。 「お前……本っ当に俺の精液美味しそうに飲むよな」 「だって美味しいから」 「………」  本当なんだけどな。勿論、写楽の限定なんだけどね。もしこれが写楽じゃなくて、久志くんだったら……んー、他の人のこと想像するのはやめよう。僕は写楽だけのペットなんだから。  たとえ、久志くんの告白が本気だったとしても、僕は、僕にはもう一生写楽だけだから。  捨てられたあとも、きっと彼のことしか僕の中には残らないから。 「写楽の一部なら、何でも美味しいよ」  君が好き、誰よりも好き。  世界一カッコイイ、僕の、ご主人様。  写楽の上に乗って、まっすぐに突き刺さってくる視線を感じながら、僕は自分で自分の後ろをほぐす。 「ンッ……んぅっ……あっ……」  ローションを使って腰を揺らしながらイイところを触り、指の本数を増やしていく。  写楽には、自分ですると言った。このままじゃ勉強のお礼じゃなくて、ホントに僕へのご褒美でしかないから。 「すげぇ眺めだな……もっと喘げよ」 「はっ……あ、あんっ!アッ!」  自分で前立腺をコリコリと刺激して、きもちよくて僕の性器の先からはダラダラと透明な液体が溢れ出ていつまでも止まらない。  写楽の身体が、僕の体液で汚れていく。 「お前、指だけでもうイキそうだな……」  写楽の視線と声を浴びるだけで、直接触られなくてもいっちゃいそうだ。でも、もう一人でイクのは嫌だから、僕は写楽のその言葉にフルフルと首を振った。 「も、いれるから……っ」  僕は、再びガチガチに固くなっている写楽のペニスを握って、後ろの穴に擦りつけた。 「あ、あ、あぁっ……!」  ゆっくり腰を下ろして、ずぶずぶと写楽のモノを、僕のナカに沈めていく。まるで自分で自分を串刺しにしている気分だ。 「くっ……!」 「あ、ああッ、写楽の、おっき…奥まで、はいらな……っ!」  途中までは自分でいれられたのに、内壁を太いモノで擦られる刺激が気持ち良すぎて、どうしても最後の最後で腰が止まってしまう。  理性が残ったままじゃ、奥まで入れることができない……。 「……遊」 「はっ、はぁッ、も、だめぇ……きつ、い」 「自分で、最後まで挿れろ」 「ン……ッ…む、りぃ……!」 「ご主人様の命令だぞ……」  僕はそっと目を開けて、涙でにじんだ視界で僕の下にいる写楽を見下ろした。  ああ、写楽、かっこいいなぁ……ご主人様の、命令かあ……。 「出来たら、キスしてやるから……」  キス……してほしい……写楽にまた、キスしてほしい……僕の全部、食べられちゃうみたいなやつ……。 「ん、ひっ……」  僕は少しずつ腰を動かしたけど……だめ、こんなんじゃ、こっから先、全然入らない……。 「はっ……はぁッ……」  涙と涎がぼたぼたと僕から零れてるけど、もう気にならなくなってきた。 「ああぁぁ……」  でも、感じてる。写楽の視線をずっと……。 「……遊、来いよ」  射抜かれるような―― 「あ……ああ――ッッ!!」  僕は、身体を支えていた手を離すと腰だけに重力をかけて、写楽のモノを一気に全て飲み込んだ。 「あ……っ、あ、ああ……!!」  もうひとりでイキたくなかったのに、僕は奥まで挿れた刺激で無意識に射精してしまったらしい。ぷしゅって勢いよく出るんじゃなくて、溢れてる。目の前がチカチカして 何も考えられない……。 「はは……っ、すげ、そんなに俺にキスしてほしかったのかよ?」 「して、ほし……んぅっ…!」  繋がったまま、ガッと頭を掴まれてそのまま深いキスをされた。ぐちゅぐちゅと口の中を舌でかき回されて、写楽の唾液がたくさん僕の口内に注がれた。 「ふあぁ……っ」 「……ぷはっ……ホラよ、ご褒美だ」  写楽、好き、好き、好き、好き 好き……君を好きすぎて、僕はだんだんオカシくなる。 「……動くぞ、イキ狂っちまえ……!」  好きっていうかもう、……あいしてる。  真実じゃないかもしれない。  いびつなカタチなのかもしれないけど……  それでも僕は、君を愛してる。 「ふあぁっ!あんっ!アァッッ!!」 「ほら遊、イケッ!」 「いくぅ、や、またいっちゃう!」 「何回でも、イケよ……!!」  下から腰を掴まれて激しく揺さぶられる。僕の内臓がぐるぐるとシャッフルして、全部口から全部外に出てしまいそうだったけど、代わりに声を上げた。  今日は平日のど真ん中で、明日も普通に学校はあって、僕は数学で当たって、ここは写楽の家で、僕はバイト中で……でも今は、なにもかもどうでもいい。 「ああッ!あんっあんっ!写楽、しゃらくぅっ!!」  分かるのは、きみだけでいい。    今僕の世界には、きみしかいない。 「あああ――っっ」  何度めか分からないけど僕は弾け飛んで、どんどん頭がぼーっとして、見ている景色が白くなってくる。このまま死にたいなあ。  小さくて狭い僕の世界を永遠に閉じてしまいたい。  大好きな君を、僕のナカに入れたままで。  そしたらほら、もう僕の中には君しかいない。

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