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一人で登校
「ユウちゃ――ん!!久志くんだよ――!!!」
「………」
朝っぱらからうるせぇな……なんで中山がうちのクラスに来てるんだよ。
「……あれ?ユウちゃんは?」
「中山先輩、梅月遊は2年3組ですよー」
ドアの近くにいた奴が親切に教えてあげていた。
「え、マジかよユウちゃん犬神とはクラス違うんだ!!ヨッシャ――!!」
何なんだ、あのクソ野郎は。朝からユウちゃんユウちゃんって、2年が大嫌いなくせにわざわざ会いに来てんじゃねぇよ。
でも、少し気になったから3組に行った奴を追って様子を観察してみた。
「ユウちゃ――ん!!久志くんだよ――!!」
「梅月、今日学校風邪で休みですよ」
「えええええ!!?」
フンッ、ざまあみろ、無駄足だったな。
中山がトボトボ帰っていくのを見送ってから、俺もまた教室へと戻った。
*
昨日無茶させたから遊は朝から立つことすらできなくて、結局学校は休ませることにした。都合よく、夏風邪を引いたことにして。当然俺も一緒にサボる気だったが、
『僕が休むせいで写楽がサボるんなら僕学校行く!!』
って言うから、仕方なく来た。まあ、立てないのはほぼ俺のせいだし、一応遊の意見を尊重して俺も腰がだるいのにわざわざ朝から学校に来てるわけだ。昼には帰るけど。
だから遊には俺が帰るまではおとなしく寝とけって言っておいた。シズネにだけは、遊がいることを教えてるから昼飯の用意はさせる、とも。
『勝手に帰ったら承知しねーからな』、と半分脅しまじりに言ったりして……。
『せっかく昨日、課題やったのになぁ…』
そう残念そうに言う遊に俺は心の中でちょっとだけ謝って、
『暇なら、華乃子の遊び相手でもしてやれ』
と伝えて、家を出てきた。
今頃、遊と華乃子は仲良く遊んでるだろうか?
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