112 / 174
幸せな朝
*
「ん……」
いつの間にか寝てしまったらしく、朝になってた。遊は、俺の腕の中でまだすやすやと寝息を立てていた。その寝顔は本当に子どもみたいだ。
今日はまだ日曜日だ。……ずいぶんと長い土曜日だったな。
朝から晩までずっと遊と二人っきりで、なんか色々あったけど俺は自分の気持ちが伝えられたし、こいつの想いも再確認できたから良かった。
もしかして幸せって、こういうことを言うのか?なんて……
「……ん……」
ぷにぷにの白い頬に軽くキスしたら、遊も目を覚ました。
「……おはよ、写楽……」
「はよ」
「今、何時……?」
「七時半」
そう言った途端、遊はガバッと身を起こした。
「やば、学校!!お弁当っ!!」
「今日は日曜だっつの」
「あっ、そっか……」
そう言って安堵したら、また俺の腕の中に落ちてきた。
「まだ寝てていいぞ。明日も、あさってまででも」
「……なんで?学校は」
おい……。
「お前、なんで昨日ここに泊まったかわかってんのか?お前が帰りたくないっつったんだぞ、お前が」
お前が、をかなり強調して言った。
「そうだけど……それはありがとう。ホテル代はいつか返します。でもそんなに長いこといたらだめだよ。学校は行かなきゃ!」
「いらねぇよ、ホテル代なんか。梅月先生の許可は貰ったのに…くそ真面目な奴」
「え、うそっ!梅月先生が学校さぼるの許可したの!?そういうことに関してはメチャメチャ厳しいのに」
「お前の状態がよほど悪かったからだよ。……まぁ、今も心配かけてるっちゃかけてるけどな」
「あっちゃー……」
俺は腕に乗っていた遊の頭を退けると、むくりと体を起こした。
「じゃあ、帰るか」
「えっ?」
「えって……今度は何だよ」
遊も続けて体を起こした。一瞬帰りたそうな顔しやがったくせに、俺の目を誤魔化せると思ってるのかよ。
「だって今日はまだ日曜日だし……もうちょっと、一緒にいたいよ」
「………」
ああもうほんとに、こいつは……。
「わっ!?」
俺はラリアットするみたいに、遊を再びベッドに押し倒した。
「……チェックアウトは10時だとよ」
「は、はい?」
「それまで……シようぜ?」
「!!」
俺の顔を至近距離で見たせいか、期待してるからなのかわからないけど、遊は顔を赤くした。
ともだちにシェアしよう!