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突然のプレゼント
「その服全部、お前にやるよ」
「えっ?」
「俺が着るより似合ってっし。いつもバイト頑張ってくれてっから、ご褒美的な?」
「ご褒美なんて、毎日貰ってますけど……」
きみのお世話をすること自体が、 僕にとって最高のご褒美なんだ。勿論、セックスも。
「あ?何もやってねぇだろ。じゃあ昨日のバイト代な。別にしなくていいのに雑用色々してくれただろ」
それはもう癖になっちゃってるんだけどね。
高そうなTシャツに、おしゃれなカーディガン。写楽にはベストなサイズなんだろうけど、僕には少し大きくてお尻のあたりまですっぽり隠れてしまう。最近は大きめのサイズを着るのが流行りだって言われたけど、ヘンじゃないのかなぁ……袖とか、指先しか出ないし。
「この帽子も?」
「それはお前にやろうと思って買ったんだよ」
え……。
「なんで?」
「別に、似合いそうだと思ったからだし」
「!!」
今度こそ僕は、真っ赤になった。
*
「あっ来た!写楽さーん!遊ちゃーん!!」
「宮田くん!金田くん斎藤くん野村くん、みんなおはようーっ」
写楽と電車に乗って待ち合わせ場所に行ったら、もうみんな既に来ていたみたいだ。
「写楽さん、一瞬女の子といるかと思いましたよ!」
宮田君が僕の格好は女の子みたいだと言った。身体の線が隠れる服だからかな?それに僕、チビだし。
「遊ちゃん私服おしゃれじゃん!」
「あ、これ写楽の服なんだよ」
斎藤くんは、金色の頭に負けないくらい私服も派手だった。ていうか全体的にみんな派手だ。地味なのは写楽くらいかな?勿論一番かっこいいけどね。
「お前にやったんだから、もう俺の服じゃねぇよ」
「あ、そうだったね!ありがと写楽」
こんな高そうな服、ほんとにもらっていいのかなぁ。みんながびっくりした顔してるけど、
一応バイト代の代わりなんだよ?
「へ、へえープレゼント。誕生日プレゼント……とか?」
「いや、僕誕生日3月だから……ふつうのプレゼントかなぁ」
帽子はほんとにプレゼントだけどね。似合うって言ってもらえたから嬉しい。
「遊ちゃん3月生まれなんだな!何日?」
「えっと、3月10日?たぶんだけど」
「………」
あっ、シーンとしちゃった……どうしよう!だって僕捨てられっ子だから自分の正確な誕生日なんてわかんないんだよ。多分その日に生まれただろうってお医者さんが言っただけで。
「写楽さんは誕生日いつですか?」
あ、それ僕も知りたい!
「4月10日」
え……じゃあ、
「僕と一カ月違いなの?」
「そうだな。正しくはほぼ一年違いだな」
そ、そっか……だから写楽はこんなにおっきいのに、僕はチビなんだね。
「で、今日はどこ行くんだよクソモヒカン」
「どこ行くっすか!?遊ちゃんの行きたいとこでもいいっすよ!!」
「じゃあ、ボーリング行きたいな……」
僕の希望にみんな少し驚いた顔をしたけど、
「よし、じゃ近くのラウンド2行こうぜ!!」
と、金田くんが提案してくれたのでみんなで移動したのだった。
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