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初めてづくし

次は写楽の番だ。写楽は目の前にボールを構えると、とてもきれいなフォームでボールを転がした。 ボールはまっすぐに転がって行って、ピンを一本も残らず倒した。 「わあっ!すごい!!」 「写楽さんナイスですー!!」 「ひゅう――!!」 僕も思わず興奮して、自然に声が出た。写楽はその場で小さくガッツポーズをするとスタスタと戻ってきて、 「ん」 と僕の前に両手を掲げた。 「?」 えっと……? 「遊ちゃん、ハイタッチハイタッチ!さっき俺らの見てたっしょ」 「あ、そうだった!」 宮田くんにそう言われて僕が同じように手を掲げたら、勢いよくバチーンってハイタッチされた。 「いたぁっ!」 「……非力」 「だって……」 そんなに激しくしてくるって思わなかったんだもん……でもなんか、ちょっと楽しいな。 「くそッ犬神めぇ!!俺もストライク取って遊ちゃんにハイタッチしてもらうぜ!!」 「させるかバーカ」 あ、まだケンカ続いてたんだ。結局、2ゲームやってボーリングは終了した。 僕は全ゲームでスぺアすら出すことができなかった。写楽とか斎藤くんは沢山ストライク出してたけど……どうしたらあんなにまっすぐボールが転がっていくんだろう?同じように投げてるつもりなのになぁ。 そして隣のレーンでは中山先輩も頑張ってた。ストライクやスペアを出すたびにわざわざ僕のところへ来て、 『ユウちゃ――ん!!ハイタッチしよ――!!』 って言うんだけど、ことごとく写楽に腕を折られそうになってた。 二人はライバルみたいな関係だって聞いてたけど、ふつうに仲良しだなあって思ったよ。きっと中山先輩は、僕をダシにして写楽と絡みたいだけだよね?そう思ったら少し中山先輩に嫉妬したりして……。 「おい、遊」 「は、はいっ」 「腹減ったろ。何か食べたいもんあるか?」 「えっ……おにぎりとか?」 「………」 急に食べたいもの聞かれても答えられないよ! 「写楽さんファミレス行きましょファミレス!安いですし!」 「ああ?別に飯代くらいどってことねぇけど」 「いやいやいや、奢ってもらおーとか思ってませんから!!」 写楽はナチュラルに全員分のお金を払おうとする。さっきも6人分払おうとして、みんなに止められていた。僕の分は結局払っちゃってたけど……。 超が付くお金持ちの人って、すごい。奢ってやるっていうえらそうな雰囲気すら全然出さないんだもんなぁ。 「んじゃ、ファミレス行くか。あんまり飯うまくねぇけど」 「スイマセン!!」 ファミレスって美味しくないんだ?行ったことないからわかんないや。 「美味しい!」 初めて入ったファミレスで、僕はハンバーグ定食を選んだんだけど中にチーズが入ってて  トロトロですっごく美味しい! 「え、まじかよ……冷凍だろそれ……」 「だってチーズが出てきたよ?僕ハンバーグにチーズとか入れたことないもん。やってみたら明良たちが喜んでくれるかも」 今度やってみよう!ちなみに写楽はサンドイッチみたいなの食べてる。クラブハウスサンド?これが一番マシなんだって。 そんなにサンドイッチ好きなら、今度お弁当で作ってこようかな。 「写楽さん、飯食い終ったらどこ行きます?」 宮田くんはまぐろ丼みたいなのを食べている。美味しそうだけど、お刺身は写楽の家でよくご馳走になってるからなぁ……お寿司で。 「ああ?カラオケとかでいんじゃね」 「よっしゃ!カラオケ行きましょ!!」 今度はカラオケに行くらしい。ボーリングに引き続き、カラオケも行ったことないから楽しみだ!写楽といたら、初めてのことばっかりで楽しい。

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