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いつだって今だって

 お風呂を見に行くともういい湯加減で貯まっていたから、僕は写楽を呼んだ。 「写楽ー、入っていいよー」 「おう」  入れ替わりに寝室に行こうとしたら、腕を引っ張られて引き止められた。 「どこ行くんだよ」 「え?だから先に入っていいよって」 「やっぱり、一緒に入ろうぜ」 「えぇ!?」  それはまあ、嬉しい申し出ではあるけど。 「……お風呂、すっごく狭いよ?」 「俺んちに比べりゃあな。でも、2人で入れねぇことはねぇだろ」 「でも写楽、疲れてるのに」  多分1人でも足思い切り伸ばせないのに、僕と一緒でもいいのかな?写楽はそんな僕の思惑を読み取ったのか、 「いいって。……お前と、離れたくねぇから」 と、言った。 「……っ」  ヤバイ……!もう嬉しい言葉にはだいぶ慣れたハズなのに、きみが無意識に吐き出す言葉に、僕はいつだって赤面して鼻血を出しそうになる。 「な……いいだろ?」 「……うん」  未だにこんなふうになるなんて、知られたら少し恥ずかしいから俯いてしまう。 「そんな俺に気ィ使わなくていいんだよ」 「それは無理かも……」 「何でだよっ」 「もう癖、かなぁ」  きみが好き。僕だって、離れたくなんかない……。 *    けどやっぱり 「せまい」 「そりゃあな」  こうなるのは分かってるわけで……。  僕らは順番に身体を洗ったあと一緒に湯船に浸かってるんだけど、やっぱりかなり狭くて体育座りになって向かい合っている。僕は狭いお風呂にも大勢で入るのも慣れてるけど、相手は小さい子達だからね……。 「遊、お前俺の方に来いよ」 「えっ?」 「座って向かい合うより、俺の足の間に座った方が広いだろーが」 「えっ、えっ」 「ほら」  強引に引っ張られて、僕は写楽の膝の間に収まった。抱きしめられると背中に濡れた肌が密着して、写楽の息が首にかかった。何度も何度も身体は重ねているのに、こんなことでドキドキする。 「……お前の心臓、うるせえよ」 「だ、だって!」 「なんでお前、いつまでたっても慣れねぇの?」 「そんなの、好きだからでしょ……」  いつだって、今だって、僕は毎日きみのことを好きになるんだから……いつまでだって慣れないよ。 「……可愛いやつ」 「ひゃっ……」  写楽が僕の耳にキスをした。そして僕は背中に当たっている、彼の硬いモノの存在に気付いた。 「あ、あの……」  それに気付いてしまったら、もう平気な顔なんてできない。 「めちゃくちゃ狭ぇし、ここでヤるつもりなんか無かったんだけどな」 「そ、その、僕っ……アッ」  写楽は、前を向いている僕の性器をいきなりギュッと握ってきた。その刺激で、僕は写楽の方へ少し仰け反った。お湯がぱしゃんと顔にかかる。彼の息だか、湯気だかが熱い。 「お前、俺が出た後に慣らそうとしてただろ。……俺がやってやるよ」 「あ、そんな……悪いよ……っ」  今日は、お風呂から出たらすぐに彼のモノを受け入れたかったのに。多分ローションとかは置いてないだろうから。彼の手を煩わせることのないように、ちゃんと自分で彼を受け入れる準備をして……。 「……別に俺、お前のこと面倒だとか思ったことねぇからな」 「ンッ……はぁんっ……」  ぐちゅっと卑猥な音が頭に響いて、耳に舌を挿れられたのだと分かった。ぬるぬるした感触が気持ちよくて甘い吐息が漏れる。それと同時に、右の乳首を摘まむように触られて更に声が出てしまった。 「あ……っあ……んんっ」  僕の小さなちんこも上下に擦られて、時々袋の方も揉まれたりして僕は成すすべもなく彼にされるがまま、ただ喘いだ。  だめ……気持ち良すぎて、このままいっちゃいそう。 「……イケよ、遊」 「ん、やぁ……っ写楽とイキたい……っ」 「俺は後で気が済むまでイカせてもらうから」  お願いだから、耳元で息を吹き込むみたいに喋らないで……。 「ふっ……ん……ぁ……っ」  お湯の中にいるせいか、性器からだらだらと溢れてくる透明な液体は見えない。それはいいことなのか悪いことなのか……いつもならお風呂場で思い切り反響する音も聞こえてこなくて、代わりに僕が身体をよじることで揺れるお湯の音だけがちゃぷちゃぷとせわしなく響いている。 「……ほら、イケよ」 「あ、ああーっ!」  舌と、唾液と、彼の声。全てを同時に耳の中へ注がれて、やっぱり成すすべもなく僕はお風呂の中に吐精したのだった。

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