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17羽
この屋敷に来て一ヶ月が経とうとしていた。アトラスが提供した最高峰の医療のおかげで持病の悪化は免れ、穏やかに過ごしていた。今日も日課となっている手入れされている中庭が見えるテラスで一人ティータイムを楽しんでいた。
手入れされ生き生きと輝いている薔薇たちを見て、ノアは思う。
この国の闇を凝縮したようなあの路地裏が恋しいな、と。
自分のために兄が性を売る仕事を選んで、のあは淀んだ空気に身体を蝕まれてながらも兄の帰りを待っていたあの時間がとても好きだった。
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