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第23羽

───ノア様が今朝息を引き取りました。 その言葉を聞いてシャルルはバスローブのままその場を飛び出しノアの部屋へと向かった。そこにおいてあるベッドの上には胸の上に指を組まされ白い布をかけられていた人物が横たわっていた。 覚束ない足取りで、シャルルは横たわっている人物へと歩み寄る。数十歩の距離をいつもの数倍の時間をかけて辿り着いたシャルルは震える手で白い布を取った。そこには母親譲りのエメラルドグリーンを閉したノアがいた。 胸に耳を当てても期待した音は聴こえてこず、その肌に触っても白磁器のように冷たかった。 「…なぁ、起きろよ…。何かの冗談だろう?ははっ…もう十分驚いたから、さっさと起きて冗談だよ、お兄ちゃんって言ってくれよ…なぁ…」 陶磁器のように冷たい頬を撫でながらそう問いかけても、その口は何も答えない。 「───!!」 シャルルは慟哭をあげた。今この瞬間、シャルルは自身の生きる意味を失ったのだ。 呆然とその場に跪き、シャルルはノアを抱きしめる。シャルルがその行為に求めてたものは何一つ還ってこなくてただひたすらに求めるだけの虚しい行為だ。シャルルの肩に何かが触れた。シャルルは緩慢にそちらを振り向くとそこには表情一つ変えないアトラスがシャルルの肩に手を置いていた。 「動かないんだ…。お兄ちゃん…って…笑ってくれないんだ…終わったら感想を聞かせるつもりだったのに…何で…感想聞く前にいなくなってしまうんだ…」 全ての独白を聞ききる前にアトラスはシャルルを強く抱きしめた。 「俺がいる」 たったその一言を聞いてシャルルはアトラスを突き放す。 「お前はノアの代わりにならない!」 その怒鳴り声を聞いてもアトラスの表情は変わらない。 「だとしてもだ。俺はお前の側にいる。決して離れはしない」 「ッ…あんたはなんでそこまでして俺に執着するんだ」  「お前が俺の初恋相手だからだ」 サラリと告げられた重大な告白にシャルルは息を呑む。そして疲れたように笑う。 「ははっ、あんたって見る目ないのな」 その嘲笑はアトラスに向けてというより自分自身に向けてのようだった。

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