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24羽 ※R18
シャルルが望んだのは二人きりにしてほしいと言うことだった。
王様はシャルルの意見を尊重し全員を部屋から退出させた。ようやく二人きりになれたシャルルは人間の体温を感じないノアの頬に掌を当てる。そして、そのままノアの唇に自身の唇を当てた。重ねた唇から自身の体の芯から熱を奪われるように奪わせるように静かに閉じたノアの唇を喰む。唇を重ねる音が絶えず部屋に響く。シャルルはそのまま片手で自身の秘所へ指を忍び込ませる。そのまま、異物に慣れた肉に指を忍び込ませて、痼の或る場所に指が触れた。自身の体だ。それが何なのかなどもうわかりきっていた。そこを刺激するとどうなるのかも百も承知だった。指を侵入させながらも唇を重ね合わせる事は止めない。冷たくなった唇と相反して高まった自身の体温で頭が可笑しくなる。それでも、シャルルは自身の指が痼をいじるのをやめない。
「‥‥ぁっ」
小さな喘ぎ声を重ね合わせてる唇の隙間から零す。自身が今、人と呼ばれる理から外れる行為をしている事を理性では分かっていたが、本能には逆らえなかった。胎内からドロリとした液体が脹脛を伝う。その液体は先程まで体を重ねてたアトラスの残滓だ。あぁ、自分は落ちるところまで落ちたのだとぼんやりと思った。それでも、唇を重ねる事も、痼を弄ることもやめはしなかった。背徳を快感に変えてシャルルは達した。あぁ、気持ちよかった。人生で一番この自慰行為が何にも代えがたい快感を得たのをシャルルは認める事しか出来なかった。達したあとに襲ってくる冷静ささえ快感の残り香だ。自身は今、人から外れたのだと理性が叫んでいた。それでもいいじゃないか。人間の本質は快楽だと本能が反論する。長らく合わせてた唇を離すと一筋の銀色がノアとシャルルの唇を繋いでいた。
それもぷつりと切れると、あぁとシャルルは嘆息に似たため息を吐いた。もう二度とシャルルと話せないのだと現実が襲ってくる。その現実にシャルルは頬を伝う暖かさを感じた。慌てて目元を拭う。それでもその暖かさは次から次へと溢れだしシャルルの頬を伝う。これが、何なのかなど理性では分かっていた。止めようとしても次々にノアの頬に落ちていく。まるで雨粒のようにノアに降り注ぐ暖かさを持った液体を止めようと必死になればなるほど雨は激しくなった。とうとうシャルルの喉からも嗚咽がこぼれ始める。
「死ぬなら俺も連れってよ」
それは、シャルルの心からの言葉だった。
一人で先に行ってしまった弟にシャルルは惨めたらしく縋った。今までノアのためになら身体だって売ってきたシャルルにできる事はもう何も残ってないのだ。それを直視してしまえばシャルルは半身がもがれる様な苦痛を感じた。そして、それさえもノアのための気持ちだと理解してしまえば愛しさに変わっていった。
嗚咽混じりに惨めたらしくノアに縋りつく自身はなんとも滑稽な事だろうかと冷静な部分に嘲笑わられた気がした。
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